少しずつ春の暖かさを感じるようになってきました。天気のよいぽかぽか陽気の日は、近所を散歩するのもよし、お気に入りコースをサイクリングするのもよし……。自然と外に出てみようかなという気持ちになりますね。でも、心地好い風に吹かれて外を歩いている時も、歩行者であれ自転車であれ、道路交通法(以下、道交法)は常に気に止めておきたいところです……。
そこで今回は自転車・徒歩編と題し、意外と知られていない道路交通法をご紹介します。
雨が降っている時の「自転車の傘差し運転」は、とっても危険です!
通勤・通学などで自転車を使用する人が多い中、雨が降っている時に傘を差しながら自転車を運転している人をたまに見かけますね。実は「自転車での傘差し運転は禁止」されているケースがあるので要注意です。道交法では自転車は「軽車両」となり、自動車などの「車両」に対する規制も自転車に適用されるのです。
ただし、自転車の傘差し運転については道交法には直接的に明記されていません。とはいえ、道交法71条「道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」(一部抜粋)という規程にかかってくるのです。
例えば、東京都道路交通規則8条には「傘を差し、物を担ぎ、物を持つ等視野を妨げ、又は安定を失うおそれのある方法で、大型自動二輪車、普通自動二輪車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと」と明記されています。
片手に傘を持って自転車を運転することは危険とみなされることになりますが、では「なんらかの器具で傘を固定して運転すれば大丈夫?」と思う方もいらっしゃることでしょう。しかし、この行為も「視野を妨げる」という理由で、安全を確保する観点から注意が必要となります。
仲のよい友人同士でも、自転車の並走運転はNGです!
部活帰りの学生さんなどは、自転車に乗りながら友達とあれこれとおしゃべりをするのが楽しいひとときだったりしますよね。道路の幅が広くてそれほど交通量が多くない道路では、友人や家族で自転車を並走させている光景をよく見ますが、実はこの行為、道交法で禁止されているのです。
同第19条において「軽車両は、軽車両が並進することとなる場合においては、他の軽車両と並進してはならない」と明記されています。自転車は原則、車道を走るものと規程されていますから、それを考えると自転車が2台以上並んで走ることは、当然とても危険であることがわかりますね。
ただし、一時的に追越す必要がある場合は例外となります。道交法第2条21項には「追越し」という項目があり「車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう」とされており、これに自転車にもあてはまります。とはいえ、もちろん追越す場合に自らの自転車が車など通行を妨害しないか、十分な注意が必要となります。
歩行者は右側通行って正しい!?
私たちは「自動車は左側」「歩行者は右側」という通行イメージをなんとなく抱いていますが、歩行者の右側通行は道交法上では、ある場面に絞られていることをご存じでしょうか?
第10条第1項には、「歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(中略)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄って通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄って通行することができる」と明記されています。
つまり、歩道がない場所を歩くときには基本右側通行ですが、場合によっては左側通行でも構わないということ。また、あくまで「歩道がない場所の場合」ですから、歩道では右側通行の原則は絶対ではありません。駅構内のように右か左か指定がある場合は、そのルールにのっとればよいことになります。歩行者などの流れを見ながら臨機応変に対応することが肝要といえるでしょう。
── 知っているようで知らない道交法のあれこれ。
エコロジーかつ健康的な自転車への人気が昨今高まっていますが、その反面で道路整備や交通ルールの徹底といった環境整備が進んでいない日本では、自転車と歩行者の交通事故が増加傾向にあります。誰でも乗れる自転車はれっきとした車両ですので、ぜひとも交通ルールを遵守しましょうね!