今週末の2月16日(金)は、旧暦の元旦「春節(しゅんせつ)」です。
春節は中国の三大節句(春節・端午節・中秋節)のひとつで、日本でいう旧正月のこと。旧暦のため、春節の期日は年によって変わりますが、毎年おおむね1月中旬~2月中旬の期間となります。
中国では新暦の正月(新正月)よりも春節を盛大に祝う習慣があり、年明けとともに国中が華やかな祝賀ムード一色に! 1年で最も重要な伝統行事として、新年の縁起を担ぐさまざまな風習が受け継がれています。そこで今日は、中国に古くから伝わる、春節ならではの風物詩をご紹介しましょう。
新しい年の吉祥を祈願する春節のおめでたい飾り物
【逆さ福字の飾り/天から福が落ちてくる】
「福字」とはその名の通り「福」と大きく書かれた飾り物で、家の門やドア、壁などに上下を逆さにして飾るのが特徴。中国語で逆さを意味する「倒」と、至るという意味の「到」が同じ発音(とう)であることから、「倒福(福が逆さま)」=「到福(福に至る)」とかけて、「天から福が落ちてくる」というわけです。逆さ福字は普段から飾っている家庭も多く、とくに春節には欠かせない吉祥飾りとされています。
【金柑の木/吉祥と富をもたらす】
中国で日本の門松に当たるのが金柑の木です。たくさんの実を付けた金柑の木を、家の玄関やベランダ、店頭などに飾り、木の枝には「紅包(ホンパオ)」という赤いご祝儀袋を下げます。中国語で「金柑」は「金桔」と書ますが、金は「財」、桔は「吉」を意味することから、金柑は「吉祥と富をもたらす縁起のいい木」とされています。
【提灯/繁栄と幸運、福を招く】
中国の多くの家庭では、春節から旧暦正月15日の「元宵節(げんしょうせつ)」にかけて、赤い大きな提灯(灯籠・ランタン)を灯します。大きな提灯は「繁栄と幸運」を意味し、赤は「福を招く最高におめでたい色」とされています。
また、近年では「台湾ランタンフェスティバル」や「ハルビン氷灯祭」など、新年を彩るイルミネーションイベントも開催され、毎年、国内外から訪れる多くの観光客でにぎわいます。
新年をエキサイティングに盛り上げる街のエンターテイメント
【獅子舞/頭を咬んでもらうと縁起がいい】
中国でお祝いの席に必ず登場する「獅子舞」。もちろん、春節のさまざまな行事にも獅子舞は欠かせません。年が明けると、爆竹の音とともにカラフルな獅子が街のあちこちで舞を披露し、1年の無病息災と五穀豊穣を祈ります。また、獅子の大きな口で頭をパクッと咬んでもらうとご利益があるといわれ、獅子舞を見ている人たちは獅子に向かって我先にと頭を差し出します。
【爆竹/威勢よく厄を払う縁起物】
獅子舞や祝い事などで焚かれる爆竹は、中国ならではの風習としてよく知られています。爆竹には魔除け(まよけ)の意味があり、その昔、竹を割って火に投げ入れ、竹がはじける音で災禍をもたらす怪獣を追い払ったという伝説から、厄を払う縁起物として用いられるようになりました。
しかし近年は、都市部で深刻化している大気汚染の問題から、全国的に爆竹を禁止・制限する動きが広まっており、違反者には数十万円の罰金が科せられる地域もあるそうです。
縁起のいい食べ物で金運アップ&家庭円満!
【水餃子/金運に恵まれますように】
小麦の一大産地である中国の東北地方では、大晦日に家族そろって「更歳餃子(年越し餃子)」をたくさん作り、水餃子にして食べる習慣があります。具材を円形に包み込んだ水餃子は、中国の昔のお金「元宝」と形が似ていることから、金運に恵まれる縁起のいい食べ物とされています。餃子の中には縁起を担ぐいろいろな具が混ざっていて、自分が食べた餃子に入っていた具で1年の金運や健康運を占うという、ちょっと楽しい食べ方もあるそうです。
【湯圓/家族みんなで仲良く円満に】
米を主食とする南方地域では、水餃子の代わりに米粉を使った「湯圓(タンユエン)」を食べます。湯圓とは小豆餡やゴマなどが入った白玉団子(米粉の団子)をお湯で煮たもので、温かい中華スイーツのような食べ物です。満月のように丸い団子は「団円(円満)」の意味があり、一家団らん・家庭円満のシンボルとされています。
日本のチャイナタウンもお祝いムード一色に!
中国ならではの華やかな春節は、ここ日本でも体験することができます。
今週2月16日(金)~3月2日(金)の春節期間中、横浜中華街や神戸南京町、長崎新地中華街では、新年をお祝いする獅子舞やパレードなどの春節イベントを開催。街中が提灯やイルミネーションで華やかに彩られ、日本に居ながらにしてエキゾチックな異国情緒を満喫できますよ! ぜひこの機会に横浜・神戸・長崎のチャイナタウンへ足を運んで、今年2回目のお正月気分を味わってみてはいかがでしょう。