12月ももう下旬に入り、1年の終りが近づいてきました。12月21日の今日は、弘法大師を御本尊とするお寺で「納めの大師」と呼ばれる縁日が開催される日です。
今回は、納めの大師についてご紹介します。
「縁日」って一体どんな日なの?
みなさんは「縁日」と聞いて何を思い浮かべますか?神社やお寺に並ぶ露店の数々…。賑わうたくさんの人々…。このような光景から、「縁日」イコール「お祭り」という印象を持つ方が多いかと思います。
それでは実際、縁日とはどんな日なんでしょうか。実は縁日とは、「有縁(うえん)の日」「結縁(けちえん)の日」の略称で、「神仏との縁・繋がりを持つ日」なんです。神社やお寺では、御本尊としている神仏や高僧が降誕した日や命日などを縁日とし、神仏に感謝を捧げる祭礼が行なわれています。縁日にお参りをすると普段よりも多くの功徳を得られるとされているため、この日になると神社やお寺には多くの参拝者が訪れます。後に参拝者を目当てにたくさんの露店が並ぶようになり、現在私たちがよく目にする縁日となったのです。
たくさんの人や露店で賑わう縁日は、神様との縁を結ぶだけではなく、昔から地元の人たちの大切な交流の場だったようですよ。
「納めの大師」と呼ばれる縁日とは?
12月21日の今日は、納めの大師と呼ばれる縁日が開かれる日です。大師とは、弘法大師のことをさしています。弘法大師といえば、唐に渡って密教を学び、真言宗を開いた僧侶です。弘法大師は真言宗を開いた以外にも、庶民でも学問を学べる綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)という教育施設をつくったり、農耕用のため池である満濃池(まんのういけ)の改修工事を行うなど、様々な活躍をしています。
弘法大師の命日は3月21日。弘法大師を御本尊としているお寺では、その命日に由来して毎月21日に縁日を開いています。そして、1年の最後に開かれる縁日、つまり12月21日に開かれる縁日こそが納めの大師なのです。
熊手が並ぶ、西新井大師の「納めの大師」
弘法大師を御本尊とする西新井大師の納めの大師では、あるものが露店に並びます。それは、熊手です。熊手といえば、「運やお金をかき集める」といった意味を持つ縁起物。主に商売繁盛を祈願するこの縁日では、色鮮やかな熊手を売る露店が一層私たちの目を引きます。500円くらいの小さなものから、数十万円もするような豪華絢爛なものまで、売られている熊手は様々です。購入する際は、年々大きくしていくのがいいそうですよ。
熊手といえば11月に開催される酉の市を思い浮かべる方も多いと思いますが、「関東厄除け三大師」と呼ばれる西新井大師で、来年の幸運祈願のために熊手を購入してみるのもいいかもしれませんね。
今回は、「納めの大師」と呼ばれる縁日についてご紹介しました。2017年ももう少し!来年の幸運祈願をしに、納めの大師に赴いてみてはいかがでしょうか。
<参考・参照サイト>
西新井大師
こんごういんキッズ
足立区
知的発見! 探検隊(2012)『あらすじとイラストでわかる日本の仏教』 イースト・プレス