エゾリスが冬支度をはじめています。木の実を拾い集めては、せっせと地面に埋めています。冬眠しないエゾリスにとって、地面に埋めた木の実は春までの重要な食糧なのですが、冬の北海道は一面の雪の原。でも、エゾリスはなんと、積もった雪の上から、木の実を埋めた場所をピタリと当てることができるのです。
エゾリスは冬眠しない。晩秋は冬に備えて木の実をせっせと地面に埋める。
エゾリスはその名の通り、日本では北海道にしか生息していません。頭からシッポの先までが約40cmもあり、リスの中では大型です。背中にシマシマがなく、耳の毛がピンと立ち、シッポがフサフサなのが特徴です。お腹は白いのですが、全体的な毛の色は、夏は茶色っぽくなり、冬は灰褐色にって、保護色の役目をしています。
普段は木の上で生活しますが、秋も終わりを迎えるころになると、地上に下りて、木の実を探し回ります。エゾシマリスと違い冬眠しないので、冬に備えて食糧を集めているのです。
大好物のクルミを見つけると、器用に外側の殻を剥き、食べないでそのまま地面に埋めます。クルミを見つけては、次々と殻を剥いて、どんどん埋めて、落ち葉をかぶせていきます。
〈参考:NHK for School 「エゾリスの冬越し」〉
雪の上から、埋めた木の実の位置がピタリとわかる特殊能力!!
12月も中旬を過ぎると、北海道の森や林は雪に覆われ、あたり一面真っ白は世界になります。こんな白い森の雪原では、何の目印もないので、エゾリスが秋に木の実を埋めた場所などまったくわかりません。しかし、彼らはお腹がすくと木の上から下りてきて、一面の雪の上から、秋に埋めた木の実を掘り出して食べることができるのです。
雪を掘るときは、木の実が出てくるまでその辺を適当に掘り続けるのではなく、雪の上から埋めた場所をピタリと察知し、ピンポイントで掘るのです。しかも、雪の深さが50cm以上になっても、迷うことがありません。何を手がかかりにして木の実が埋まっている位置を知るのかは、はっきりとはわかりませんが、それはまるで“特殊能力”があるかのような行動です
冬も元気いっぱい、森の元気くん!!
エゾリスは冬眠しないので、冬も雪の上を元気に走り回ります。ただ、冬の間は主に朝のうちに活動して、それ以外は巣の中で眠っていることが多いようです。
活動時間はもちろん、エサを食べる時間でもあります。食べるものは、地面に埋めた木の実のほか、コケやキノコ、冬芽や樹皮など。さらには、葉を落としたカラマツのまつぼっくりの中にある小さな種子をちまちま食べることもあります。
冬の森は葉を落とした木が多いので、枝がスカスカです。そんな冬枯れの森は寒々しくて寂しい感じがしますが、裏を返せば、リスをはじめ、鳥や小動物の行動がよく見えるようになります。冬は自然の動物を見るには絶好のシチュエーションでもあるのです。たまに、葉を落としたカラマツを見上げると、茶色い毛のかたまりが枝にひっついているように見えることがありますが、よく見ると、それがエゾリスだったりします。葉があるときにはお目にかかることができない光景です。
北海道に生息する小動物のうち、冬眠しないで冬も活動するのは、エゾリスのほかに、エゾモモンガやエゾナキウサギなどがいます。どれもキュートでラブリー系。雪の上でもイキイキと動きまわっています。北海道では今、車のタイヤを冬仕様に変えたり、羽毛布団や冬靴を出したりして、これからやってくる冬に備えています。
そろそろ北海道に冬がやってきます。人もエゾリスも、冬支度をする季節となりました。