7月の終りが近づいてくると、「土用」という言葉をよく聞くようになりますよね。土用とは、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間のことを言います。そして土用の始まりの日のことを、「土用入り」と言い、今日がその「土用入り」なのです。
土用と聞いて「鰻」を連想する方が多いと思いますが、それではなぜ夏の土用に鰻が食べられるようになったのでしょうか。今回は、土用の丑の日に食べたい食べ物をご紹介します。
鰻は冬が旬って本当?夏に鰻を食べる理由
現在では「土用の丑の日といえば鰻!」と考える人が多いと思いますが、実は鰻の旬は冬なんです。特に、冬に備えて栄養を蓄え始める10月頃の鰻は、とても美味しいのだそう。それではなぜ、夏の土用に鰻を食べるようになったのでしょうか。
夏の土用に鰻が食べられるきっかけをつくったのは、江戸時代の蘭学者である平賀源内だと言われています。ある日平賀源内は、鰻屋から「夏になると鰻が売れなくて困っている」との相談を受けます。それを聞いた平賀源内は、丑の日に「う」のつく食べ物を食べると夏バテをしないという民間伝承をもとに、「本日は丑の日(本日は鰻の日)」という宣伝文句を考えたのです。平賀源内のアドバイスで看板を出した鰻屋は大繁盛。それを見た他の鰻屋たちも次第に真似をするようになり、土用の丑の日に鰻を食べるようになったのだそうです。
鰻じゃなくても大丈夫?土用の丑の日に食べたい食べ物
一般的には土用の丑の日に食べるものといえば鰻ですが、もともとは違う食べ物が食べられていました。よく食べられていたのは、「う」のつく食べ物です。丑の日に「う」をつく食べ物を食べることは、夏バテを防ぐためのゲン担ぎだったのだとか…。たとえば、スタミナをつけるために「馬」や「牛」、胃に優しい食べ物として「うどん」「梅干し」「瓜」などがよく食べられていました。
「鰻もいいけど、暑くて食欲が湧かない」なんて時は、冷たく冷やしたうどんに梅干しを添えて食べるのもいいかもしれません。
そして「う」のつく食べ物だけではなく、他にも土用に食べると良いと言われている食べ物があります。それは、「餅」「しじみ」「卵」です。土用に食べられるこの3つは、それぞれ「土用餅」「土用しじみ」「土用卵」と呼ばれ、古くから人々に食されてきました。
土用餅とは、いわゆる「あんころ餅」のことです。今では「土用餅といえばあんころ餅」というのが一般的ですが、平安時代の宮中ではみそ汁に餅を入れて食べていました。餅を餡子で包むようになったのは、江戸時代のこと。餅は「力持ち」、小豆は「厄除け」、と言われていたのだそうです。
暑い夏を乗り切るために、昔の人々はいろんな工夫をしていたんですね。
今回は、土用の食べ物をご紹介しました。土用の丑の日の食べ物は鰻だけじゃない!というのを初めて知った方がいらっしゃれば、今年は鰻だけではなく、他の土用の食べ物を楽しんでみてはいかがでしょうか。
<参考・参照サイト>
星のうなぎ
ニホンバシーモ.jp
菓子処畑田本舗