本日3月3日は「耳の日」です。
耳の日は、難聴と言語障害をもつ人びとの悩みを少しでも解決したいという、日本耳鼻咽喉科学会の提案によって1956年に制定されました。
ふだん、あまり考えることのない耳ですが、音の感知や平衡感覚にも関係する体の大事な器官です。
きょうという記念日に、「耳」について考えてみませんか?
耳の構造はどうなっているの?
耳は、外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)、内耳(ないじ)の3つの部位からなっています。
外耳は、顔の外側にある耳介(じかい)と、耳の穴である外耳道からなります。
中耳は、鼓膜を含めた外耳の奥のことを言います。ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨と三つの耳小骨があり、音の振動エネルギーを内耳に伝えています。
また中耳は耳管(じかん)という管で鼻の奥とつながっており、風邪などで鼻のなかで増えた菌が耳に届くと、中耳炎になってしまいます。
子どもに中耳炎が多いのは、この耳管が太く短く、大人に比べて菌が入りやすいからとされています。
耳の一番奥の部位である内耳は、頭蓋骨の中に入っており、ここに、三半規管(さんはんきかん)があります。よく、ブランコなど回転するものに乗って気持ち悪くなると、「三半規管が弱い」などと言ったりしますが、三半規管は体の回転を感じる働きがあり、体のバランスをとる役目をしています。
気になる耳掃除は? どのくらいの頻度で行えばいい?
外耳道の先端から中耳の入り口にある鼓膜までは、約3cm。ここに耳垢がたまります。
耳掃除が好きな人も多いですが、やりすぎると耳垢を鼓膜のほうに押し込んでしまったり、耳を傷つけてしまうこともあります。
じつは、外耳道の皮膚は毎日少しずつ動いていて、鼓膜から耳の外に向かって自ら耳垢を出そうとしています。このため、耳の奥まで耳かきや綿棒で掃除する必要はないのです。日本人に多いカサカサの耳垢なら、月に1〜2回程度の耳掃除で十分です。
また、耳垢自体に殺菌作用があり、耳を守ってくれる役割もあるので、やりすぎには注意してください。
めまいの原因は、なぜ耳にあるの?
内耳にある三半規管には、リンパ液が貯まっています。体が動いたり傾いたりすると、そのリンパ液の流れが変わります。その流れを脳が感知し、どの方向へ体が動いているかをとらえています。
また同じく内耳にある耳石器(じせきき)は、加速度や重力をとらえる器官です。
三半規管と耳石器で得た情報は、前庭神経で脳幹に伝えられます。
この三半規管、耳石器、前庭神経という平衡感覚をつかさどる機能に障害が起こると、めまいが起こってしまいます。
たとえばメニエール病は、三半規管に貯まっているリンパ液が増えて、水ぶくれ状態になることで、引き起こります。ほかにも耳が原因によるめまいは、前庭神経炎、突発性難聴、聴神経腫瘍、抗生物質などの薬物からおこるめまい、前庭神経が圧迫されるためのめまいがあります。
耳が原因のめまいの場合、耳鳴り、難聴、耳閉感があらわれるのが特徴のひとつなので、こうした症状が出た場合、耳の病気をまず疑い、適切な治療を行っていくことが大事です。
ちなみに、脳が原因のめまいの場合、耳鳴りや難聴、耳閉感をともないません。物が二重に見えたり、顔や手足がしびれたり、手がふるえるなどの症状が出ます。
── 耳について、ご理解いただけたでしょうか。
耳は、鼻や脳につながる重要な部位。大切に扱い、健康な毎日を過ごしてくださいね。
●参考/一般社団法人 日本神経学会 公式ホームページ