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地球は宝石の輝きを秘めた星


月も後半に入りました。春の兆しと冬が拮抗している日本列島です。南北の長さも去りながら、青空が広がる太平洋側と大雪の日本海側、この激しい天候の違いにも驚かされます。ユーラシア大陸の東の端に位置する日本は大陸の移動によってこのような島国になりました。地球は長い時間をかけて宇宙のなかで生成されました。私たちの生活は地球のさまざまな恵みから成り立っています。キラキラと輝く宝石もそのひとつ。地球が作り出した奇跡ともいえる宝石についてみてみましょう。


もとはといえば、塵やガスの集合体

地球が誕生したのはおよそ46億年前、太陽の誕生とほぼ同時期です。宇宙に漂っている塵やガスが集まって原始太陽ができました。この時に太陽になれなかった塵やガスが太陽の周りをまわりながら、衝突をくりかえして集まり、微惑星をつくります。微惑星同士が衝突して大きくなり太陽系の惑星となりました。そのひとつが地球です。

誕生したばかりの地球は今の姿とは全く違ったものだったようです。表面はドロドロとしたマグマの海でおおわれていたそうです。長い時間がたち冷却期を迎えると、大気が冷えて水蒸気が水となることで大雨が降り、マグマを冷やして地殻が固まり、さらに海をつくることになりました。

地球の内部も変化していきます。軽い岩石成分が外側に移動し、重い鉄やニッケルが中心部分に集まっていきました。このようにして地球の中心部分に金属の核ができ、その周りをマントルと地殻が取り囲む地球の三層構造ができました。


宝石は地球のどこにある?

宝石は地球にある岩石に含まれる鉱物の一種。私たちに身近な鉄や銅、アルミといったものと同じ鉱物になります。それぞれの鉱物はどのようにできたのでしょうか? それは、地球の内部構造の働きによるようです。

地球は数十枚の固い岩板、プレートでおおわれています。プレートは地球内部の物質の対流などの影響を受けて水平方向に移動して互いに衝突したり、他のプレートの下に沈み込んだりしてさまざまな地質現象を起こします。最近は地震の報道でこの活動が一般の人にもとても身近になりました。

これらの地質現象によって、元素が化学的性質に従い分別され分化がすすみ、温度や圧力などの条件で多様な岩石、鉱物が誕生します。つまり地球を覆うプレートの動きと地質現象が作り出した奇跡が宝石といえるのです。


宝石の美しい色や輝きはどこからくるの?

地球の中に作られた多くの鉱物、それによって人類は生かされ発展してきました。その中でも宝石は特別な存在。宝石にはどんな人をも魅了してしまう美しさがあります。そのために権力を象徴して、美しい王冠や杖などが作られました。またそれらを争って戦いが起こりました。多くの冒険物語も生まれました。あの美しい色や輝きはどこからくるのでしょうか?

それは、鉱物が持つ結晶構造とそれに関与している原子、そこにあたる光によって美しい色と輝きがもたらされるそうです。色の美しさは、結晶を構成している原子、または不純物として入り込んでいる原子が、入って来る光のエネルギーに刺激されて与えられます。例えばルビーの赤はクロム原子が、サファイアの青はチタンと鉄の原子がイオン化して入り込むから。他にもマンガン、銅、ニッケル、バナジウム、コバルトなどが宝石に美しい色をもたらす元素となります。

宝石は「美しさ」が第一ですが、他にも定義があるんですよ。第二に「硬さ」、最後に「希少価値」これにより比類なき美しさが認められるということです。宝石は美しいだけでなく、傷つきにくくまた珍しいからこそ、手にしたときの喜びも大きいのでしょう。


2月の誕生石は「アメジスト」

「アメジスト」の紫色はルビーほど華やかさはないけれど、サファイアの孤高の輝きとも違う、高貴で神秘的な雰囲気が漂います。この紫は微量の鉄によるものとか。

中国で3世紀頃に「神農本草経」という本が書かれました。世界で初めての薬学書と言われています。この本によると、「アメジスト」を粉末にして服用すると不老長寿の効が得られるとあるのとこと。含まれている鉄分により代謝作用が上がったのだろうと思われますが、当時はまだそのようなことは知られていません。「妙薬」として扱われていたのはいにしえの人々の知恵でしょうか。

地球から受ける恩恵は本当に多種多様です。これからも多くの物をもたらしてくれる地球を大切にしていきたい、そう思いませんか。

参考図書:

『宝石Q&A』飯田孝一

『鉱物・宝石のすべてがわかる本』下林典正、石橋隆

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