様々な星によって彩られる夜空。季節ごとに観測できる星座や流星群が違うため、天体観測を季節ごとの楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
一方で、「寒い冬の夜に天体観測なんて……。」と思っている人も少なくはないでしょう。しかし実は、冬こそが天体観測にもってこいの季節なのです。
防寒対策をしっかりして、あたたかい飲み物を飲みながら、冬の夜空を眺めてみてはいかがでしょうか。
乾燥している冬の気候は、天体観測にもってこい
寒さで俯きがちなこの季節ですが、実は冬は星がよく見える季節なんです。
それではなぜ、冬に星がよく見えるのでしょうか。その理由に「空気の乾燥」があります。というのも、天体観測を妨げる要因となるものの一つが「水蒸気」なのです。水蒸気は大気を霞ませ、空の透明度を下げてしまいます。水蒸気が少ないということは、大気の透過率が高いということを示します。そのため、大気中の水蒸気が少ない乾燥した冬にこそ星がよく見えるとのこと。このように、水蒸気が天体観測の妨げになるという理由から、水辺を避けて観測のポジショニングをする人も多いそうです。
乾燥肌や風邪の原因になることで嫌われがちな冬の気候ですが、天体観測には適した気候だったんですね。
暗いようで暗くない?「薄明」が天体観測に与える影響
通常、太陽が沈んでもすぐに真っ暗になるわけではありません。太陽自体が沈んでもしばらくの間は、雲などに照り映った太陽の光が空を覆います。この空に残った光が天体観測の邪魔になってしまうのです。
冬は夏に比べてかなり日照時間が短く、完全に真っ暗になるまでの時間が短いため、早い時間から夜空に浮かぶ星をはっきりと見つけることができるの点でも、天体観測を楽しむのによい季節と言えるかもしれませんね。
すぐに暗くなってしまうこの季節ですが、上を向いて星を見ながら歩いてみるのもいいかもしれませんね。
冬の夜空を豪華に彩る7つの一等星
星には、その明るさを示す「等級」というものがあります。星の明るさによるグループ分けは、古代ギリシャの天文学者であるヒッパルコスが、最も明るく見える星を「一等星」、肉眼でぎりぎり見える星を「六等星」とグループ分けしたことから始まっています。今ではこの等級は細かく決められており、六等星の100倍の明るさを持つ星が一等星とされています。
一等星は南半球でしか見られないようなもの含めて21個あり、日本では年間15個の一等星を見ることができます。春には3つ、夏には4つ、秋に1つ。そして、なんと冬には7つの一等星を見ることができるのです。7つの一等星が照らす夜空は明るくとても豪華に見えます。冬が天体観測に適していると言われているのは、冬に見ることができる一等星の数が関係していたのですね。
冬の天体観測にはしっかりとした防寒対策を!
天体観測に適した冬の気候ですが、うっかりしていると体調を崩してしまいます。冬の夜に天体観測をする場合は、しっかりと防寒対策をしましょう!
山の上などのスポットで天体観測をする場合は、入念に寒さ対策をするようにしましょう。服の下にランニング用のタイツを一枚着用するだけでもかなり暖かくなりますよ。また人間の体は手足から先に冷たくなるため、厚手の手袋や靴下を着用するのもいいでしょう。
空気が澄んで星が見えやすいこの季節、防寒対策をしっかりとして天体観測をしてみてはいかがでしょうか。