今年も残りわずか、年末のご挨拶は済まされましたか? 古くから日本では年末年始のご挨拶は直接お伺いして行うものでした。着物を着て、風呂敷にご挨拶の品を包み…着る着物や風呂敷の色柄にも思いが込められていました。季節の花や雪輪、松竹梅、橘などの吉祥模様(きっしょうもよう)にはどんな意味があるのでしょうか?
季節の模様
冬は雪や梅、松竹梅や橘などの模様がデザインされた着物と帯が見受けられます。年末のご挨拶なら、雪をモチーフにした雪輪(ゆきわ)や雪の結晶模様の小紋や訪問着が季節感がありお勧めです。雪輪はそれだけで模様になっている場合と、写真のように雪輪の中にさらに模様がちりばめられている場合があります。こちらの写真は、雪輪に橘と青海波が描かれています。小紋にするか訪問着にするかは、お伺いする方との関係性で決めたいですね。
目上の方にご挨拶に伺う時には、季節の草花や松竹梅などをモチーフにした、控えめな訪問着をお召しになることをお勧めします。この時、帯の格は落とさないように気を付けましょう。つづれ織りや唐織などのフォーマルな装いがお相手への礼儀になります。近い間柄の方へご挨拶に伺う時には、雪輪の飛び柄小紋や江戸小紋に染め帯などで、緊張感をほぐした中にもきちんと感が感じられる装いをされると、お互いの関係性を表わす素敵な装いになるのではないでしょうか。
年始のご挨拶にはおめでたさを表わして
年が明けて、おめでたい空気がいっぱいのお正月のご挨拶にはぜひ、その雰囲気を着物や持参する風呂敷の色柄に込めましょう。おめでたい柄を吉祥模様(きっしょうもよう)と言いますが、その代表格は、松竹梅と宝尽くし、そしてその年の干支にちなんだ模様ですね。来年の干支は酉(とり)です。着物の模様には鳳凰や鶴などが多くあります。ぜひ、新年の集いやご挨拶にはこういった柄の着物や帯を選んでみてください。着ている自分はもちろん、ご一緒する方にも運気アップのおすそ分けができてしまうのが吉祥模様の和装です。
初詣や観劇にも
初詣や観劇などのお出かけがあるお正月…お嬢さんにはタンスの中の振袖を。奥様世代には若いころに作った訪問着をお召しになってほしいものです。どちらも着慣れない方からは「着物は苦しいから…」という声が聞こえてきそうですが、長時間出歩くことや食事をすることなど、その日の予定をお話しすれば着付けのプロならきっとその要望にあった着付けをしてくれます。お知り合いの方や口コミで評判の良い着付けをしてくれる方を探されると間違いありませんんで、アンテナを張ってみてください。着物を着る楽しみを知ると、着物の模様や色のもつ意味もわかってきて、さらに楽しみが増えます。次の年にはご自分で装えるようになればもっと楽しいと思います。
残り数日となりました、皆様良いお年をお迎えくださいませ。