先日、東京では季節外れの積雪が観測されるなど、冬も本番が近づいてきました。
年の瀬が近づくと増えてくるのが忘年会ですね。一年の労をねぎらう場として、まだまだ多くの企業で行事として行われています。
労をねぎらうといっても、若手社員にとっては忘年会での振る舞いはとても気を遣うもの。過度な太鼓持ちをする必要はありませんが、最低限先輩社員が気持ちよくお酒を飲める場をつくるのも若手社員の大事な役割です。
そこで、忘年会シーズンに向け、若手社員が覚えておきたい宴会マナーをチェックしましょう。
先輩社員を立てるためのポジショニング
宴会を始める前に、まず大事なことはポジショニングとなります。次のポイントを押さえて、好印象のスタートを切りましょう。
●宴席が始まる時間より少し早く到着しましょう。
●うっかり宴席中央、お誕生日席、部屋の奥(上座)の席に座らないようにしましょう。
●後から到着した目上の方に、上座に座ってもらうよう誘導しましょう。
なぜ、若手が上座ではなく下座に座るかというと……
それは大勢の人が飲食する場では、どうしても追加の飲み物や料理を頼むために店員を呼んだり、会計を済ませるなどの役割を担う人が必要になるからです。
雑務=新人という明確な決まりがあるわけではありませんが、フットワークの軽い若手が雑務をこなすことは暗黙の了解であり、日本の慣習といえます。そのため入り口近く(下座)に新人が座っていれば、目上の方に失礼がないとされています。
そして、忘れてはいけないのは座るタイミングです。
宴会がスタートする時点で、その場に揃った先輩社員が着座したことを確認してから座ると好印象に!
宴会での印象も仕事の人間関係をつくるうえでは大切なことですので、「宴会が始まる前からこんなに気を遣うの?」と悲観せず、逆に、先輩や目上の人から「目配り、気配りができるなぁ」と感心されるチャンスととらえたいものですね。
知っておきたいお酒によるお酌の違い
忘年会で最も大事といってもよいのが「お酌」です。そこで知っておきたいポイントは、お酒によってお酌のマナーが異なるということです。
ここでは、ビール、日本酒、ワインのお酌の仕方を紹介します。
◆ビールの場合
宴会では瓶ビールが出されることが多いのですが、ビールをお酌するときは、まず右手で瓶の底を持ちます。このとき、ビールのラベルが上を向くことがポイントです。
次に左手で注ぎ口を支え、注ぎ口がグラスにつかないよう、ゆっくり注ぎましょう。勢いよく注ぐと泡が多くなってしまいますし、あふれてしまうこともあるからです。
◆日本酒の場合
お銚子の中央を右手で持ち、左手は添えるように置きます。また、お銚子をテーブルに置いた状態での「置き注ぎ」はNGですので、「どうぞ」と一言添えて、お猪口を差し出されてから注ぐようにしましょう。
この時の目安(適量)はお猪口の8~9分目くらい。お猪口いっぱいに注ぐと口元に運ぶ際にこぼれてしまいます。
ワインを注ぐ際の適量とは?
◆ワインの場合
少し特殊なのがワインです。もし、レストランでのパーティーでワインをボトルで頼んだ場合は、スタッフがサービスをしてくれるもの。ワインは自分たちでお酌をしない……これが西洋的マナーです。
気軽な宴席などで互いに注ぎ合う場合は、ラベルを上にして泡を立てないよう静かに注ぎます。
ちなみにワイングラスのカタチは、女性のウエストから腰にかけて……ともいえる柔らかな曲線を描いていますが、注ぐ適量はグラスの最も膨らんだ部分までを目安に。なみなみグラスいっぱいに注がない理由は、グラスの中の余白にワインの芳醇な香りをためこむためなのです。
お酒によって、お酌のルールは異なりますが、人によっては自分のペースで飲みたい人もいますので、お酌をする前に「まだビールでよいですか?」「次の飲み物は何にしますか?」といった一言を添えると◎です。
適量以上のお酒を勧められたときの対処法
お酌をすれば、もちろん反対に先輩からお酒を勧められることもあるでしょう。
基本的には、断らずに頂戴するのがマナーですが、大事なのは無理をしないこと。
先輩からのお酌は断りにくいかもしれませんが、「もうそろそろ限界だな……」と思ったら、素直に「もうたくさんいただいたので……」「あまりお酒が飲めない体質で……」としっかり断るようにしましょう。
周りに迷惑をかけないためにも、自らのアルコールの適量を知っておくことも若手社員のマナーのひとつですので、適量以上のアルコールを摂取したあまり、体調を崩してしまった……、眠ってしまって宴会後半の記憶がない……といったことは一番避けたいところですね。
── 忘年会シーズン到来ですが、宴会席でも何かと気を遣うことが多い若手社員にとっては、「せっかく飲むのにこんなに気を遣ったら疲れる!」と思うこともあるでしょうが、ていねいな振る舞いが先輩社員の信頼を勝ち取ることになるはず。
もし「今日は無礼講で!」と先輩が言っても、忘年会でおさえておきたいポイントを事前にしっかりチェックし、ぜひとも「こいつできるやつだな」と高評価を勝ち取る場にしちゃってくださいね。