向こう2週間は、12月らしい寒さの日が多いでしょう。寒気の流れ込みが強まる時期もあり、関東などでも昼間に暖房が欲しいくらいの日がありそうです。日本海側を中心に、荒れた天気になるおそれもあり、降雪量は、かなり多くなる可能性があります。
●8日~14日 日本海側は荒天や降雪量が多くなるおそれ 12月らしい寒さ
向こう一週間は、日本付近は冬型の気圧配置が続くでしょう。強い寒気が流れ込むタイミングが、2回あります。
明日8日にかけて、上空5300メートル付近で、マイナス33℃以下の寒気が、北陸付近まで流れ込む予想です。これは、平年より10℃くらい低い気温です。上空1500メートル付近では、降水があると平地で雪の目安とされるマイナス6℃以下の寒気が、北陸付近まで流れ込み、一時的に九州北部や四国付近にも流れ込む見込みです。
北海道や東北の日本海側を中心に雪が降り、積雪が増えることもあるでしょう。北陸では、山地や山沿いを中心に次第に雪に変わりますが、平地では断続的に雨の降る所がある見込みです。これまでの雨や令和6年能登半島地震の影響により地盤の緩んでいる所があり、少ない雨量でも土砂災害の危険度が高まるおそれがあります。土砂災害に警戒してください。
四国や九州北部では、山地を中心に雪が積もる所があるでしょう。車での峠越えなどは、雪への備えが必要です。
関東など晴れる地域も、12月らしい寒さで、次第に冷たい北風が吹きそうです。
次に強い寒気が流れ込むのは、12日頃からです。今回の寒気と同じくらいか、強いでしょう。日本海側を中心に荒れた天気や降雪量が多くなるおそれがあります。
関東など日差しが届く地域も、再び北風が強まる見込みです。寒さが一層厳しくなり、真冬の寒さになることもあるでしょう。関東などでも、昼間に暖房が欲しいくらいの日がありそうです。
●15日~20日 日本海側を中心に降雪量がかなり多くなる可能性
この期間も、冬型の気圧配置が続くでしょう。期間の初めは、12日頃から流れ込む寒気の影響が続きそうです。北海道から北陸を中心に、日本海から雪雲の流れ込みが続くでしょう。太平洋側にも雪雲が流れ込み、雪がちらつく所もある見込みです。東京都心でも雪がちらつく可能性はあります。
期間の中頃から、雪マークはなくなり、寒さも緩む予報になっています。ところが、この予報には大きな幅があります。期間の中頃以降、西日本を中心にこの時期としては強い寒気が流れ込む可能性があります。この場合は、再び日本海側を中心に降雪量がかなり多くなることが考えられます。
関東から九州では、最高気温が15℃くらいになる日がある予想になっていますが、そこまで上がらず、12月らしい寒さが続く可能性もあります。今後、最新の気象情報をご確認ください。
●寒気が流れ込みやすい状況が続く原因 ラニーニャ現象の特徴だけじゃない
ラニーニャ現象の特徴が顕著になっており、インドネシア付近で対流活動が活発になっています。この影響で、中国大陸南部の上空では高気圧の勢力が強まり、偏西風が北へ蛇行しています。その東の日本付近では、偏西風は南へ下がり、寒気が流れ込みやすくなっています。
この先、ラニーニャ現象の特徴だけでなく、日本付近に寒気が流れ込みやすい条件が重なります。
ひとつは、「負の北極振動」が顕著になり、一週間程度、場合によってはそれ以上続くことです。「負の北極振動」とは、北極付近の気圧がいつもより高く、日本などがある中緯度域の気圧がいつもより低くなる現象です。シベリア付近の動きの遅い高気圧(ブロッキング高気圧)が、今後、北極海に移動するため、「負の北極振動」が顕著になるでしょう。「負の北極振動」が顕著になると、北極付近から、日本付近をはじめとした中緯度域に寒気が流れ込みやすくなります。
もう一つは、北半球上空にある西から東への風の流れ「偏西風」の蛇行が維持されることです。偏西風の蛇行があると、北極側からは寒気が流れ込みやすくなり、南からは暖気が流れ込みやすくなります。この先、ヨーロッパ西部の上空ではいつもより気圧が低くなります。その東ではいつもより気圧が高くなります。気圧の東西の高低があたかも波のように東へ伝わり、気圧が低いエリアと高いエリアが交互に並びます。その結果、日本付近の上空は気圧が低くなり、偏西風は南への蛇行が維持されることになります。
上の図は、北半球の上空5500メートル付近の大気の流れです。9日から16日の予想で、青いエリアは高度が平年より低く、オレンジのエリアは高度が平年より高いことを予想しています。この期間は、ヨーロッパ付近から、高度が低いエリアと高いエリアが交互に並び、日本付近は低いエリアになっています。偏西風は、日本付近で南へ蛇行することが予想されており、その結果、日本付近に寒気が流れ込みやすくなるのです。