気象庁は今日25日、7月から9月にかけての3か月予報を発表。気温は全国的に7月から9月にかけて平年よりも高い見通し。昨年2023年の夏は、過去最も暑い夏となりましたが、この夏も異例の猛暑となる可能性もあります。梅雨明け前から万全な熱中症対策を心がけてください。
●予想される海洋と大気の特徴
気象庁は今日25日、7月から9月にかけての3か月予報を発表しました。
この先3か月は、全国的に気温が平年よりも高く、昨年に続き「猛暑」となりそうです。
その理由としては、まず地球温暖化の影響などにより、中緯度帯を中心に大気全体の温度がかなり高いでしょう。
また、猛暑をもたらす「ラニーニャ現象」に近い海面水温分布となるでしょう。今後、「ラニーニャ現象」の発生の可能性が高くなっており、発生した際には猛暑となる可能性が一層高まるため、警戒が必要です。
上空にあるチベット高気圧は北東への張り出しがやや強く、偏西風は日本付近では平年よりやや北寄りを流れるでしょう。太平洋高気圧は北西への張り出しがやや強い見込みです。これらのことから、日本付近は暖かい空気に覆われやすく、気温が全国的に7月、8月、9月の3か月ともに平年よりも高い見込みです。
●この夏も猛暑予想 降水量は西日本ほど多い
3か月の平均気温は全国的に平年より高いでしょう。
梅雨明け前の7月から気温が平年よりも高く、7月初めから真夏日が続出する見込みです。7月スタートと同時に学校のプールも始まる所が多くなる頃ですが、暑さに気づきにくい水の中で熱中症にかかることもあります。プール中の熱中症にも十分に注意をしてください。
8月はお盆休みなど長距離を車で移動する方も多いと思いますが、車内での熱中症に気をつける必要があります。9月に入ってもなかなか暑さがおさまらず、残暑が続く見込みです。
昨年2023年の夏の平均気温は、統計開始以来1位となり、過去最も暑い夏となりました。今年も長い期間、熱中症対策が欠かせないでしょう。
また3か月の降水量は、平年並みの所が多く、西日本では平年並みか多い見込みです。太平洋高気圧の縁辺を回る湿った空気が西日本を中心に流れ込みやすいでしょう。
●西日本を中心に梅雨末期の大雨に警戒
今年は梅雨入りが全国的に平年よりも大幅に遅くなりました。
この先は太平洋高気圧が強まる傾向にあるため、梅雨明けが大幅に遅れるということはなさそうです。7月に入ると同時に、梅雨前線は本州の日本海側まで押し上げられるでしょう。
この先の降水量を月別に見ると、7月は九州北部や中国地方で平年並みか平年よりも多い見込みです。雨の降り方には十分ご注意ください。
8月、9月は全国的に降水量は平年並みでしょう。梅雨明け後は盛夏を迎えるとともに、台風が襲来しやすい時期に入ります。雨の情報はしっかりと確認して、大雨に備えてください。
【北日本】北海道・東北
【東日本】関東甲信・北陸・東海
【西日本】近畿・中国・四国・九州北部・九州南部
【沖縄・奄美】奄美地方・沖縄地方
●ラニーニャ現象とは?
「ラニーニャ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。
ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象を「ラニーニャ現象」と呼びます。
(「ラニーニャ(La Niña)」とは、スペイン語で女の子という意味で、「神の子キリスト」を意味する「エルニーニョ」の反対現象ということから名づけられました。)
「ラニーニャ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。
ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では、夏は厳しい暑さになる日が多く、猛暑となる傾向があります。