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エルニーニョ監視速報 この冬はエルニーニョ現象が続き暖冬傾向


気象庁は、今日11日(月)に「エルニーニョ監視速報」を発表しました。それによりますと、この冬はエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90%)と予想しています。この冬は暖冬傾向になる見込みです。ただ、春には平常に戻る可能性(50%)も出てきました。

●11月の実況

11月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+2.3℃で、先月からの大きな変化はなく基準値より高い値でした。
エルニーニョ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の9月の値は+2.1℃で、4月から6か月連続して上昇傾向が続いています。太平洋赤道域の海面水温は日付変更線付近から東部で高くなりました。海洋表層の水温は太平洋赤道域の中部から東部で平年より高く、西部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年より弱くなりました。
このような太平洋赤道域の海洋と大気の状態は、成熟したエルニーニョ現象時の特徴を示しています。

以上から、今年の春からエルニーニョ現象が続いているとみられます。

●今後の見通し

実況では、太平洋赤道域の中部から東部にみられる海洋表層の暖水が、東部の海面水温が高い状態を維持しています。大気海洋結合モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が冬の前半までピークを維持し、後半からは西部の冷水の東進に伴い次第に下降し、春の間に基準値に近い値に遷移する可能性があると予測しています。

以上のことから、今後、冬の間はエルニーニョ現象が続く可能性が高く(90%)、春の間は続く可能性と平常の状態になる可能性が同程度となっています(50%)。

●西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況

【西太平洋熱帯域】
11月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後、春にかけて基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測されます。

【インド洋熱帯域】
11月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後、春にかけて基準値より高い値で推移すると予測されます。

●エルニーニョ現象とは?

「エルニーニョ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が弱まると、西側の暖かい海水が東側へ広がるとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが弱まり、南米沖の海面水温が通常より高くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象を「エルニーニョ現象」と呼びます。
(「エルニーニョ(El Nino)」とは、スペイン語でイエス・キリストという意味で、クリスマスのころに海面水温が高くなることから名づけられました。)

「エルニーニョ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。「エルニーニョ現象」発生時の日本は、冷夏や暖冬になりやすいと言われています。

●この冬の見通し 暖冬傾向も油断禁物

この先もエルニーニョ現象が続くため、暖冬が予想されています。上空の偏西風は平年より日本付近では北を流れ、大陸からの寒気の流れ込みは弱いでしょう。冬型の気圧配置も長くは続かない見込みです。

最新の3か月予報(11月21日発表)によると、12月から来年2月までの平均気温は、北日本で「平年並みか高い」、東日本と西日本、沖縄・奄美で「高い」と予想されています。また、降雪量は北日本の日本海側で「平年並みか少ない」、東日本から西日本の日本海側で「少ない」予想です。それでも、一時的に強い寒気が流れ込むと、日本海では海面水温が平年より高い状態が続いているため、雪雲が発達しやすく。大雪や猛吹雪の可能性はあります。暖冬だと油断なさらずに雪や寒さへの備えはしっかりしましょう。

なお、次回の3か月予報の発表は12月24日です。

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