きょう9月28日、日本気象協会は「2024年春の花粉飛散予測 第1報」を発表。ことしの夏の記録的な猛暑が影響し、九州から東北にかけての広い範囲で「例年より多い」傾向に。特に、北海道と東北北部は、ことしの春に比べて、大幅に花粉の飛散量が増える見込みです。
●2024年春の花粉飛散傾向
2024年春の花粉飛散量は、例年(過去10年の平均)に比べて、九州から東北のほとんどの地域で、多いまたはやや多いでしょう。北海道は非常に多い見込みです。
花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響します。気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は、花芽が多く形成され、翌春の飛散量が多くなる傾向があります。今年の夏は猛暑となったため例年より多い傾向となっています。花粉症のかたは、万全な対策を行ってください。
2024年春の花粉飛散量は、前シーズン(2023年)と比べると、九州から東北南部は、ほとんどの地域で同じくらいかやや少ないでしょう。東北北部と北海道は、前シーズンの飛散量が少なかったため、非常に多くなる見込みです。
●各地域の花粉飛散傾向
各地域の花粉飛散量は、例年に比べると、九州・四国・中国・東海は120~140%程度でやや多い、近畿・北陸・関東甲信・東北は150~170%程度で多い、北海道はおよそ230%で非常に多い予想です。
前シーズン比では、北陸は60%前後で少ない、九州・四国・中国・近畿・関東甲信は70~80%程度でやや少ない、東海は90%前後で前シーズン並、北海道は600%以上で非常に多い見込みです。東北は地域によって差が大きく、東北南部は80%でやや少ない予想ですが、東北北部はおよそ300%で非常に多い予想となっています。
【花粉の種類について】
北海道はシラカバ、その他はスギ・ヒノキ花粉の飛散量を表します。
【飛散量に関する言葉の説明】
非常に多い :前シーズン (例年)の200%以上
多い :前シーズン (例年)の150%以上200%未満
やや多い :前シーズン (例年)の110%以上150%未満
前シーズン(例年)並 :前シーズン (例年)の90%以上110%未満
やや少ない :前シーズン (例年)の70%以上90%未満
少ない :前シーズン (例年)の50%以上70%未満
非常に少ない :前シーズン (例年)の50%未満
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前シーズン :2023年シーズン飛散量
例年 :過去10年(2014~2023年)の平均値
【2023年夏の気象に関する言葉の説明】
平年 :1991~2020年の平均値
●予測の根拠① 「前年(2023年)夏の気象条件」
花粉の飛散量は、前年夏の気象条件が大きく影響します。2023年の夏は暖かい空気に覆われ、日本の平均気温は記録的に高くなりました。日照時間は、高気圧に覆われて晴れた日が多くなった東海から東北を中心にかなり多くなり、降水量は北陸から北海道を中心に平年並みか少なくなりました。
2023年6月前半は、梅雨前線や台風および気圧の谷の影響を受けて、九州から北海道にかけて日照時間は平年並みか少なく、降水量は多くなりました。この時期は、花芽の形成にはマイナスの気象条件だったと考えられます。6月後半から8月にかけても前線や台風などの影響で大雨になった地域がありましたが、暖かい空気の影響を受けやすく、太平洋高気圧の張り出しが強まったことなどにより、顕著な高温になりました。このため夏の期間を通して見ると、花芽の形成に好条件な「高温・多照・少雨」という気象条件は、九州から北海道まで、ほぼ全国で揃ったと考えられます。
●予測の根拠② 「前年(2023年)春の花粉飛散量」
花粉の飛散量は、前年春の飛散量も影響し、多く飛散した翌年は減少する傾向があるといわれています。
2023年春の花粉飛散量は、2022年夏の高温が影響して例年を上回った所が多く、九州から東北南部にかけて90~300%になりました。一方、東北北部と北海道は2022年春の花粉飛散量が多かったことなどが影響したとみられ、例年を下回り、30~60%でした。
花粉の飛散量は、前年春の飛散量も影響し、多く飛散した翌年は減少する傾向があるといわれています。
2023年春の花粉飛散量は、2022年夏の高温が影響して例年を上回った所が多く、九州から東北南部にかけて90~300%になりました。一方、東北北部と北海道は2022年春の花粉飛散量が多かったことなどが影響したとみられ、例年を下回り、30~60%でした。
大阪市と千代田区(東京)の過去10年の飛散量の推移を見ると、折れ線グラフで示した前年夏の気温が高い年は飛散量が多い傾向であることがわかります。ただ、千代田区の2019年のように前年夏の気温が高くても、飛散量は例年をやや上回る程度で大きくは増えないことがあります。春に飛散量が多かった年は、夏に花芽の生成が抑えられ、翌春の飛散量は減る傾向があることが知られており、その影響だと考えられます。その逆に、春に飛散量が少なかった年は、夏に花芽が生成されやすく、翌春の飛散量が増える傾向があるといわれています。
●予測根拠のまとめ
花粉の飛散量は、前年夏の気象が「高温・多照・少雨」だと多くなる一方、前年春の飛散量が多いと減る傾向があります。今年(2023年)は、夏の猛暑の影響で、花芽の形成に好条件な「高温・多照・少雨」という気象条件が九州から北海道にかけて揃いました。
このため、例年に比べて、2024年春の花粉飛散量は多い傾向になる見込みです。特に北海道のシラカバ花粉は非常に多いでしょう。
前シーズンと比べると、2023年に飛散量が多い傾向だった九州から東北南部は、おおむね同じか少なくなる見込みです。逆に、飛散量が少なかった東北北部と北海道は非常に多くなるでしょう。