新潟地方気象台は、きょう11日、北陸地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。(速報値) 北陸地方では、5月から既に短期的な大雨がありました。改めて大雨への備えを確認・万全にして下さい。
●平年日と同じ 昨年より5日遅い梅雨入り エルニーニョ現象発生で大雨リスクが増える懸念
本格的な雨の季節到来となりました。昨夏は、線状降水帯が新潟・福井で発生、大雨特別警報が新潟に、記録的短時間大雨情報が石川を中心に相次いで発表されるなど記録的な大雨となりました。今シーズンも、太平洋側の複数の県で線状降水帯が発生し、既に災害級の大雨となっています。
6月9日、気象庁からエルニーニョ現象の発生と、今後、秋にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90%)旨の発表がありました。
エルニーニョ現象が発生すると、南の太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、梅雨前線を北へ押し上げる力が弱いため、梅雨の期間が長くなる可能性があります。日本付近は湿った空気の通り道となり、大雨リスクが増える可能性が高まるということです。仮に、梅雨明け速報の発表があった場合でも、天気が安定する典型的な「梅雨明け十日」とはならず、8月に入ってもぐずついた天気となる可能性があります。
●最新の1か月予報 台風など突発的な要因はおりこまれていません
6月8日、新潟地方気象台は、北陸西部の福井・石川・富山と北陸東部の新潟の4県を対象とした「北陸地方の向こう1か月の天候の見通し」を発表しました。これによると、期間のはじめから曇りや雨の日が多く、1か月の降水量は、ほぼ平年並みと予想されています。ただ、台風2号や3号のように、短期的突発的な要因で降水が強化されるようなケースは、季節予報では十分考慮することができないのが現状です。
●「降水量は1か月でほぼ平年並み」でも油断は禁物
「1か月でほぼ平年並み」、この文言から日常生活への影響を推測するのはまず困難と言えます。
過去、6月1か月の降水量が平年並みであった、直近の2021年、2016年、2014年の雨の降り方を図で見てみましょう。2021年(グレー色)と2014年(青色)は、ともに平年比が300%を超える大雨となった期間があります。その一方、降水がほとんど観測されない平年比が0%の期間もあり、短期集中型の大雨の期間があったことが分かります。
2016年に関しては、大雨期間の平年比のピークは前2者には及ばず172%となりましたが、やはり雨の降り方にはメリハリがあったと言えます。
従って、平年比が1か月で平年並やほぼ平年並みでも、「平坦な道の連続で1か月間毎日平年並みが続くことはない」ことに注意する必要がありそうです。
●梅雨は1年で最も予報が当たりにくい時期
図は、気象庁から毎日11時に発表される、週間天気予報の3日目から7日目までの降水有無の的中率を示したもので、赤の線は北陸地方、緑の線は全国平均を示しています。ともに、6月~8月の夏の期間を含むこの時期が、的中率が最も低くなっていることがお分かりいただけるでしょう。これはこの時期の天気を大きく左右する梅雨前線の南北位置を予想するのが難しいことに他なりません。
●梅雨前線の南北位置がわずかにずれるだけで天気が変わる事例
図は昨日10日正午の地上天気図(左上)、衛星画像に降水域を重ねたもの(右上)、12時の推計気象分布図(左下)です。梅雨前線周辺で降水域が広がり、北へ離れる程、次第に薄曇りとなり、北陸西部の沿岸部を中心に晴れとなっています。
梅雨前線の南北位置を決めるカギは、南の太平洋高気圧と北のオホーツク海や日本海の高気圧とのせめぎあいの結果と言っても過言ではありません。この部分の予想が前日と当日で変わってしまうと、境界領域付近では、天気が変わり、最高気温も大きく変わることがあるのです。
従って、この時期はいつも以上に、最新の天気予報を確認するようにして下さい。