皆さんの「春の訪れ」を感じる瞬間について調査したところ、1位は「桜の開花」に。さらに桜の見ごろについても調査し、「入学式の桜」から「卒業式の桜」のイメージへ変化しつつあることもわかりました。
●長かった冬ももうすぐ終わり いつ頃から春の訪れを感じる?
2月も残りわずかとなりましたが、つい先日まで寒い日が続いていたものの、少しずつ空気が柔らかく感じる日も出てきたのではないでしょうか。今年の冬は、ラニーニャ現象などの影響もあり、厳しい寒さや雪となった地域もありました。春の訪れが待ち遠しいという方もいらっしゃるかと思います。
そこで、Yahoo!ニュースの協力を得て、全国にお住まいの皆さまに「春の訪れ」に関するアンケートを実施しました。
気象庁では3月から5月を「春」としていますが、地域によって春の訪れを感じる時期には差があるのでしょうか。「あなたがお住まいの地域では、いつ頃から春の訪れを感じ始めますか。(単一回答)」と聞きいたところ、九州から関東のほとんどの地域で「3月」と回答する方が最も多い結果となりました。一方で、暖かい気候の沖縄では「2月」、雪や寒さが厳しい北海道や東北、北陸、長野などで「4月」と回答している方が最も多くなっていました。
さらに都道府県別に詳しく見てみると、東京・大阪・福岡では70%以上方が「3月」と回答していて、人によって春の訪れを感じる時期にそれほど大きな差がないことが分かりました。一方、新潟では「4月」と回答した方が最も多かったものの、40%近くの方は「3月」から春の訪れを感じ始めているようでした。沖縄も「2月」が最多であったものの、やはり40%近くの方が「3月」と回答しており、同じ県内でも結果が大きく割れていました。
また北海道では、約60%が「4月」と回答したものの、「5月」という回答も一定数あり、長い冬を経てようやく春がやってくる印象も伺えました。
●春の訪れを感じる瞬間は?1位は「桜が開花したとき」
皆さんはどのようなときに春を感じるのでしょうか。「あなたが春の訪れを感じる瞬間を教えてください(複数回答)」と質問をしたところ、最も多い64.3%の方が「桜が開花したとき」と回答していました。
そのほかにも「春の花を見つけたとき(37.8%)」「春に訪れる鳥の鳴き声を聞いたとき(23.4%)」など、春と関わりのある生物から春の訪れを感じる方が多いことが分かりました。
実は、これらの「春の訪れを感じる瞬間」については、季節の遅れ進みや、気候の違い、変化など総合的な気象状況の推移を知るために、気象庁が「生物季節観測」として観測しています。
現在は、観測所周辺の環境の変化によって、適切な場所での標本木の確保や対象動物を見つけることが困難との理由から「桜の開花・満開」や「梅の開花」を含む6種目9現象のみが対象となっていますが、令和2年までは「タンポポの開花」「すみれの開花」「うぐいすの初鳴」「とかげの初見」などの観測も行っていました。
これらの情報は気象庁のホームページで公開されていますので、皆さんが身近に感じていた「春の訪れを感じる瞬間」と気象庁の観測結果を比べてみても面白いかもしれません。
●今年の桜は? 桜開花予想
多くの方が春を感じる瞬間として答えた「桜の開花」について、今年はいつになるのか気になりますよね。
日本気象協会が2月24日に発表した最新の桜開花予想によると、2022年の桜の開花は、西日本から関東で平年並みのところが多く、北陸と東北の一部、北海道では、平年より早く開花する見込みです。
開花のトップは、3月21日の熊本となる見込みです。22日には東京や福岡、23日には長崎と名古屋で開花するでしょう。24日には大分や和歌山、横浜などで開花し、3月末までには西日本から関東、北陸までの広い範囲で開花となる見込みです。新潟や長野、東北では4月上旬から中旬に開花するところが多くなりそうです。
4月下旬には、桜前線は北海道へ到着し、4月25日に函館と札幌で開花するでしょう。
約1カ月後には、多くの地域で春の訪れを感じられそうですね。
●満開の桜の時期 「入学式の桜」から「卒業式の桜」へ変化か
春の訪れを感じる瞬間として多くの方が挙げていた桜ですが、見ごろはいつ頃なのでしょうか。また、その時期は変化しているのでしょうか。
「あなたが小学生のとき、桜が「満開」なのはいつ頃でしたか。(単一回答)」と聞いたところ、年代ごとの回答の傾向に違いがあることが分かりました。
どの年代でも、およそ4月上旬にあたる「入学式の頃」と回答した方が最も多かったものの、年代が下がるにつれて3月中旬から下旬にあたる「卒業式の頃」と答える割合が多くなっていました。
「卒業式の頃」と回答したのが、40代以上では25%前後であるのに対し、20代以下では40%前後となっており、若い人ほど、桜の満開の時期を「卒業式の頃」とイメージする人が多い傾向にあるようです。
●東京の桜の満開日 年々早まる傾向に
実際に、東京の桜の満開の記録を見ると、1960年代の10年平均では4月6日が満開日でしたが、2000年代、2010年代は3月30日と、1週間程度早まっています。東京の小学校の入学式は4月6、7日頃に行われるところが多いので、3月30日に満開を迎えてしまうと入学式にはすでに桜が散ってしまっている所も多そうです。一方で、卒業式は20日から25日頃に行われることが多く、桜の満開は迎えていないものの、2000年代以降では桜が咲いている中で卒業式が執り行われることも増えたと考えられます。(一般的に、桜の開花から約1週間ほどで満開を迎える傾向があります。)
なお近年では、2018年は3月24日、2020年と2021年は3月22日に東京の桜の満開が発表され、まさに「卒業式」と「桜の満開」が一致した学校が多いと思われます。
ソメイヨシノの開花や満開の条件のひとつに「気温の上昇」があり、春が暖かいほど開花や満開が早くなる傾向があります。東京都心における3月の日最高気温の平均を見ると、1960年代は13.2℃であったのに対し、2010年代は14.5℃まで上昇しています。今後さらに3月の気温が高くなれば、桜の満開の時期も早くなり、「卒業式の桜」が一般的になる日もそう遠くないかもしれません。