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あれから2年 北海道胆振東部地震を風化させないために




2018年9月6日午前3時過ぎ、北海道を非常に強い揺れが襲いました。道内では統計史上初となる震度7を厚真町で観測し、土砂災害などによって多くの被害が発生しました。

地震から2年が経った今でも、その影響は残っていますが、一方で少しずつ地震の記憶や意識が薄れている人も多いと思います。

震災を風化させないためにも、そして、あの記憶をこれからに活かすためにも、今一度、地震や防災について考えてみましょう。



●北海道史上初の震度7


9月6日午前3時過ぎ、胆振地方中東部を震源とした非常に強い地震が発生しました。最大震度は厚真町で観測した北海道の統計史上初となる震度7。その他、震度6強を安平町、むかわ町で、震度6弱を札幌市東区、千歳市、日高町、平取町で観測しました。

最も人的被害が大きくなった厚真町では37名の尊い命が失われ、道内での死者数は44人に上りました。(災害関連死を含む)土砂崩れや液状化によって家屋に大きな被害を受けた方もいらっしゃいます。

また、地震によって苫東厚真火力発電所などの電力供給が止まったことで、北海道全域で停電(ブラックアウト)が発生。最大で約295万戸で停電となり、ほとんどの地域が発生から復旧まで1日以上の時間がかかるなど、道民全てに被害を与えたと言っても過言ではない大きな災害となりました。


●厚真町の今とこれから


6日、献花のために、地震で特に被害の大きかった厚真町を訪れました。

役場がある町の中心部の様子は、地震の影響などはほぼ感じられないくらいに落ち着いていましたが、吉野地区の献花台に行く道中では、崩れにくいように補強された斜面や、その工事を行う重機の姿がいくつも見られ、今も残る地震の爪痕を感じさせました。

厚真町役場の方に伺ったところ、道路の復旧工事や斜面の補強工事などは多くの部分がすでに完了しており、残った所も今年度中には完了予定とのことです。

しかし、厚真町では、地域によって被害の程度に大きな差があったこともあり、生活再建が順調に進み、日常を取り戻してきている人がいる一方で、仮設住宅で生活するなど、今も大きく影響を受けている方々がいます。

そして、震災から2年が経ち、仮設住宅の期限が迫っています。早ければ来月で期限を迎える住宅もあり、災害公営住宅などに移る必要がありますが、それによって、また周囲の環境の変化、新たなコミュニティへの参加に直面します。

厚真町の社会福祉協議会の方は、そういった環境の大きな変化は不安やストレスにつながりやすい、と言います。特に、なかなか以前の生活に戻れない人は、悲観的になりやすく、周囲から取り残されたように感じることが多いため、そういった所をこれからしっかりと支えないといけない、とおっしゃっていました。

町長の追悼の言葉にもありましたが、「一人も取り残されることがないよう」に支える意識や姿勢が、これから求められてくるはずです。

地震から2年が経ちましたが、決して何かが終わったわけではありません。一日も早い完全な復興に向けて、今後も自分にできることを続けていきたいと強く思いました。


●残る地震の影響 気象情報にも


札幌では月降水量の平年値は9月が年間で一番多く、厚真や安平、むかわ方面も8月に次いで2番目に雨の多い月が9月(千歳は8月、7月に次いで3番目)。台風シーズンでもあるため、大雨によって災害が発生する恐れが十分にある月です。

気象情報では、地面の中に貯まっている雨水の量を示す土壌雨量指数という指数を用いて大雨注意報や警報の発表の基準を作成していますが、胆振東部の厚真町やむかわ町、安平町に加え、石狩地方の札幌市、千歳市では、今も地震の影響を考慮して注警報の発表基準を引き下げた暫定基準が使われています。(2020年3月に通常基準の7割から8割に引き上げ)

震災から2年経った今でも、地震の影響で震災前に比べて大雨による土砂災害が発生しやすい状態が続いていることになります。

胆振東部地震の際の土砂災害も、前日に北海道に接近した台風による雨の影響も指摘されました。大雨が予想される場合は、以前にも増して災害への注意、警戒が必要になります。気象災害は予報を見ながら対策、対応ができるため、防災のためにも気象情報はしっかりと確認するようにして下さい。


●地震への備え 必ず「冬」の想定を


9月は防災月間であり、北海道にとっては史上最大の揺れを観測した月でもあります。これを機に、今一度、地震への備えをしておきましょう。

そして、北海道において地震への備えの時に絶対に忘れてはいけないのが、「冬に起きたら」という備えです。

気象災害には起こりやすい時季、起こりにくい時季が存在しますが、地震にそれはありません。冬の停電で最も怖いのは厳しい寒さ。北海道は、例えば札幌でも1月は平年の最高気温が氷点下で、真冬日が当たり前、という気候です。胆振東部地震と同じ規模の災害が真冬に起こっていたら、被害はさらに大きくなっていたかもしれません。

特に今回の震災は全道的なブラックアウトが発生し、地震の揺れによる被害がなかった地域でも、停電によって大きな影響が出ました。

北海道の家庭で主に使用されるストーブは、石油やガスが燃料となっていますが、着火に電力を必要とします。そのため、停電が起こると、ストーブによって暖を取ることができなくなります。冬の災害に備え、電気を使わないポータブルストーブや、カイロなどの準備をしておく必要があります。ガスが使えてお湯を沸かせる時には、湯たんぽも強い味方となります。

今年は新型コロナウイルスの感染拡大といった新たな脅威もあり、震災の記憶が薄れてきている人が多いかもしれません。

しかし、災害は忘れた頃にやってくるとも言います。あの震災を風化させず未来へ活かすために、今一度、防災や日頃の備えについて考えてみてはいかがでしょうか。


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