進路が定まらない台風10号。過去の同じような台風では西日本で人的・物的被害がありました。今後の動きに注意が必要です。
●台風10号 きのうの予想よりも 本州に近づくのが遅く
大型で強い台風10号は、8日午後3時現在、小笠原近海でほとんど停滞しています。台風はこのあともゆっくりと北上する見通しです。予報円を見てみると、きのう(7日)午後3時の予想では、来週月曜日(12日)の午後には本州の太平洋側の一部地域に暴風警戒域がかかる予想でしたが、きょう(8日)午後3時の予想では、暴風警戒域が本州にかかるのは来週火曜日(13日)と、きのうの予想よりもおよそ1日分、台風の進むスピードが遅くなっています。
※暴風警戒域とは、台風の中心が予報円内に進んだときに、暴風域に入るおそれのある領域のことです。
●過去に似た動きの台風 大きな被害に
今回の台風10号。予報円が大きく、進路が定まっていません。台風の動きを決めるポイントは2つあります。まず、日本の南の海上を進んでいるときは、「太平洋高気圧の縁をまわる風」に乗って進みます。そして日本付近まで進んでくると、「上空の偏西風の流れ」に乗って進むようになります。
台風10号は、台風の北側に張り出しが強い太平洋高気圧に進路をブロックされて、動きが遅くなっています。また、日本の上空の強い偏西風帯は北海道付近にあるため、偏西風の流れにも乗ることができていません。そのため、動きが遅く、また予想進路にも幅があるのです。
このような条件も、過去を振り返ると同じような台風がありました。2011年9月3日に高知県東部に上陸した台風12号です。このときの特徴も、台風は日本の南の海上をゆっくりと北上しました。
当時の気圧配置をみると、今回と同じように、沖縄の南には別の台風があって、また日本付近には太平洋高気圧が張り出していたのが分かります。
また、上空の強い偏西風帯も北にあったため、台風はゆっくりと進み、影響が長引いて紀伊半島を中心に大雨となりました。西日本では、河川の増水や氾濫、土砂崩れやがけ崩れなどが多数発生し、人的被害も出ました。当初の予想進路は関東付近に接近・上陸する予想でしたが、太平洋高気圧の張り出しによって、進路が大きく西寄りに変わったのも特徴です。
●今回も影響長引くおそれ 注意が必要
台風10号は、本州付近にかかる予報円がまだ大きいため、東日本と西日本の広い範囲で、今後の台風の動きに注意が必要です。また、台風の動きが遅いため、影響が長引いてお盆明けまで続くおそれがあります。台風がまだ遠くても、海岸ではうねりを伴って波が高くなるなどの影響が出てきます。海のレジャーなどには十分に注意が必要です。
この情報は、8月8日の午後3時までの資料を基に作成しています。最新の台風情報を確認するようにしてください。