
<パ・CSファーストステージ:西武3-2日本ハム>◇第1戦◇10日◇ベルーナドーム
どちらが勝ってもおかしくない緊張感のある試合だった。そんな試合をものにした西武の一番の勝因を挙げるなら、1発のある日本ハム打線を2ランだけに抑え込んだ投手陣が挙げられるだろう。ただ、私自身が感じた西武の強さは、そこではなかった。
スタメン起用されている選手とベンチスタートとなった選手が、それぞれ自分の役割を理解している。それを最初に感じたのは、1点をリードされた5回の攻撃だった。
先頭打者の長谷川がセーフティーバントを決めて出塁した。試合展開は先制しながら逆転2ランを浴び、相手先発の有原がリズムに乗って投げていた。長谷川はクリーンアップを任されることもある打者だが、今試合での打順は7番だった。今試合での自らの役割と相手の意表を突くという点で、効果的なセーフティーバントだった。
続く滝沢は初球でしっかり送りバントを決めた。そして9番の西川は初球のチェンジアップを打ってセンターの右にタイムリー。おそらく変化球が多い配球から、初球の落ちる系の球種を狙っていたのだろう。気持ち良く投げていた有原の出ばなをくじくような攻撃でもあり、下位打線で効率のいい得点を決めた。
得点には結び付かなかったが、8回も西武らしい攻撃をした。本塁打を打っている平沢の代打に出た外崎が初球を打って二塁打。投手が左の堀だったための起用だろうが、代打がファーストストライクを積極的に狙っていた。そして3番の小島にも右打者の古賀が代打で送りバント。ここでも初球で完璧な仕事をこなした。
続く渡部は内角の真っすぐを打って併殺に倒れたが、チームが白けるような内容ではない。変化球をマークしながら、見逃し三振や空振り三振をしないような意識を感じる内容だった。
自分が何番を打つか? どういう状況で出番が来るか? そして自分の役割はなにか? すべてうまくはいかないが、目まぐるしく変わる試合展開の中でも、選手は西口監督の実行する野球を理解してプレーしているように見えた。
一方の日本ハムは自分の力を発揮するだけに集中しているように見える。2回無死三塁から山県は見逃し三振し、続く清宮も空振り三振。三振だけは避けようとする内容は感じなかった。
相手先発の平良を機動力で崩そうとして、超積極的なスタートで3個の盗塁を決めた。ここまでは素晴らしい狙いで、絶好のチャンスは作った。だが、あともう一押し足りず、結局はホームランによる得点だけ。延長10回にサヨナラホームランを打たれたのも初球の真っすぐだった。真っすぐに強いカナリオへの攻め方として、あまりにも安易だった。
地味な戦力で2位になった西武と、優勝候補に挙げられながら3位で終わった日本ハム。シーズンでの差が、そのまま出た試合だった。(日刊スポーツ評論家)
