
<元近大主将・谷本甲仁さん>
阪神佐藤輝明内野手(27)がセ・リーグ三冠王に輝き、近大でチームメートだった谷本甲仁さん(27)が祝福メッセージを送りました。谷本さんは名門・福井工大福井の硬式野球部コーチを務めており、近大時代は主将、佐藤は副将という間柄。怪物スラッガーの盟友が、大学時代のエピソードや素顔を明かしました。【只松憲】
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輝、リーグ連覇と三冠王獲得おめでとう! 率直に言うと…活躍しすぎ。俺ら同期でも信じられない。三冠王って本当にすごい。プロ野球で三冠王を取った選手と一緒に野球できていたっていうのは、本当に光栄なことです。
近大で最初に出会った時は衝撃の連続やった。キャッチャーで入部してきた輝に「なんじゃ、この下手くそは…」って。変な構え方するし、全然ボール止められへんし。でも、いざ打席に立ったら「なんじゃこれ」っていう打球を飛ばしていた。1年生の時の初実戦で初球をライトにホームラン。最初だけやろって思ってたら4年間ずっと打っとったな。普段はボーっとしてるし、何を考えているのか分からなかったけど、今では大切な友人です。
俺がキャプテンをしていた4年生の時は、副キャプテンだった輝と井町(大生)を含め、3人で数え切れないほどミーティングをした。寮の応接室で少なくとも1週間に1回、リーグ戦期間中は毎日チームについて話していた。輝に対しては何度も厳しい言葉をかけた。一緒に寮生活をしていたのに、輝は時間にルーズな部分があった。点呼後の掃除、朝食後のグラウンド集合で遅刻。そのたびに「輝は4番やろ。お前を見てみんな動いてるから」ってゲキを飛ばした。
チームを良くするために、なんとか輝に人として成長して欲しかった。ゲキを飛ばした後は、輝も行動を改善してくれた。「何やねん…」とか愚痴ひとつ言わず「カツ(谷本)が言うなら、しゃあないよな。ごめん。気を付けるわ」。そう言って、次の日は時間を守って掃除も、きちんとしてくれた。めっちゃいいやつだなって思っていた。輝がいたから強い近大は継承されたと思う。
阪神に入団してからも輝は1ミリも変わらなかった。一流の成績を残しても、年俸をたくさんもらっているはずだけど、いつもあの日々の輝のままだった。周囲から見れば「めっちゃ態度デカいやん」って思われるかもしれないけど、そうじゃない。めっちゃ優しい。小さい子や家族が本当に大好きだった。練習試合やリーグ戦も、めちゃくちゃ声を出して応援してくれるお父さんを始め、家族の方が毎日観戦に来られていたけど、その都度絶対に「ありがとう」って直接言いに行っていた。そういうのって照れくささもあると思うけど、素直に「ありがとう」って言える輝はすごい。
どれだけスターになっても「阪神の佐藤輝明」ではなく「大学の同級生」。かけ離れた存在になっているけど、今も変わらない友達です。3、4年前に奈良県生駒市のファミレスに一緒に行ったな。たわいもない会話をして、ドリンクバーを飲んで。やっぱり輝は輝のままだなって思った。これからもけがをせず、健康で元気で、輝が楽しく野球をやっていれば、俺はすごくうれしいです。これからも頑張ってな。
◆谷本甲仁(たにもと・かつひと)1999年(平11)3月15日、大阪府生まれ。小2の時「帝塚山スポーツ少年団」で野球を始める。中学は硬式の「ヤングビクトリー(現奈良ヤング)」でプレー。福井工大福井では16年春に甲子園出場。開幕戦で阪神村上頌樹投手を擁する智弁学園(奈良)に敗れるも「2番遊撃」で出場し、5打数2安打。近大では1年春からベンチ入り。4年時には主将を務め、20年秋の関西学生野球連盟で優勝。その後の関西王座決定戦でも優勝した。卒業後は野球メーカーの「大阪ホーマー」に1年間勤め、その後は福井工大福井で事務職員などを務める。福井工大で教職免許を取得し、25年4月から情報科の教員として正式採用された。
