
<大相撲秋場所>◇13日目◇25日◇東京・両国国技館
大関経験者で東前頭6枚目の朝乃山(32=高砂)が、19年夏場所以来2度目の賜杯(しはい)を射程に捉えた。熱海富士を寄り切って10勝目を挙げ、3敗をキープ。単独トップの横綱大の里が2敗目を喫したため、大関安青錦とともに1差に迫った。残り2日で4敗勢にも可能性がある優勝争い。左ひざの大けがを乗り越えた朝乃山が、終盤の土俵を盛り上げている。
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大関を張った力を、朝乃山が示した。踏み込んで左前まわしをつかみ、右を差す。熱海富士の重い体を起こし、休まず前へ。「止まったら重たいので」。力強く攻め切り、館内を沸かせた。
場所前は伊勢ケ浜部屋へ出稽古に出向いたが、この日は「しっかり自分の相撲を取り切ることだけ」を考えた。大関とりに挑む熱海富士を「力もつけていて、重くなって圧力もある」と認め、「胸を借りるつもり」で臨んだ一番。結び3番前の土俵で勝ち、声援を受ける姿は、大関時代を思わせた。本人も「声援とか拍手が多い中で相撲が取れてうれしかったですね」と、その舞台で相撲を取る喜びを口にした。
24年名古屋場所で左ひざ前十字靱帯(じんたい)を断裂し、三段目まで番付を落とした。昨年春場所に復帰し、今年初場所で幕内に戻ってからも、2桁白星には届かずにいた。この日、12勝を挙げた23年夏場所以来の10勝目。幕内で再び白星を重ね、優勝を狙うところまで戻ってきた。
その行方を、土俵下で見つめた。久々の勝ち残りで迎えた結びは、大の里が霧島に敗戦。支度部屋でも結びのハイライトをテレビで凝視した。「下からの目線とテレビの目線は違うので」。流れていた映像を見ていただけと説明したが、横綱との差は1つ。逆転すれば、琴錦に並ぶ歴代最長の43場所ぶりの優勝となる。
優勝には「何も考えていないです」と慎重。2桁白星にも「また違った感覚がありますけど、それは今日で終わりです」。14日目は関脇藤ノ川戦。「しっかり休んで、また明日に備えたいと思います」。長い道のりを経て近づいた2度目の賜杯(しはい)へ、まずは次の白星をつかみにいく。【山田遼太郎】
