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【こんな人】日本ハム中島卓也が磨いた「巧の技」三塁側ベンチでグラブを構える選手が続出


【写真】引退セレモニーでスピーチする日本ハム中島卓也(2026年9月13日撮影)

<日本ハム-楽天>◇22日◇エスコンフィールド

今季限りで現役引退する日本ハム中島卓也内野手(35)が22日、楽天との引退試合(エスコンフィールド)に臨む。2015年に盗塁王を獲得。堅実な守備で同年には遊撃手のベストナインにも選ばれた。

一流の走塁と守備に加えて、中島をトップレベルの選手にした「技」がカット技術だ。追い込まれてもファウルで粘り、ボールを見極め、四球で出塁する。きっかけは14年7月27日楽天戦。1点を追う7回1死二塁、中島は則本にたった2球で追い込まれながら、7球のファウルを打ち、13球目で四球を選んだ。直後に中田の逆転3ランが飛び出した。中島は「四球を選ぶことで、こうやってゲームが動くことがあるんだな」と陰の立役者となる心地良さを味わった。

当時、担当記者だった私は、打撃について深く話を聞いた。このとき一番取り組んでいたのは、ボールとバットの軌道を合わせるレベルスイング。細かくチェックし、反復練習を繰り返し、「巧の技」はつくられていった。打席で思考、打法を変えるのは、2ストライクを取られてから。「追い込まれたら、安打は打ちに行かないです。極端に言うと、ファウルを打ちにいってます」。インパクトのポイントを極限まで捕手側に置き、「内角の球でも三塁方向にファウルするイメージ」。当時、三塁側ベンチでは中島が2ストライクになるとグラブを構える選手が続出。「中島卓也=カット」は球界に浸透していった。

ひとりで何球も投げさせる“くせ者”を、当時の栗山監督は「本当に助かる」と話していた。だが、カット打法が特徴の選手が、球界で長く定着することは少ない。それは「打撃技術が上がれば、それだけとらえられる確率が上がるから」(同監督)。ミスショットが減り、早いカウントでヒットを打てることが多くなることで、ファウルで粘る機会自体が減少する。中島も、17年には打席数では球界史上もっとも遅い初アーチとなる、9年目、通算2287打席目での初本塁打を記録。18年には打率2割6分1厘をマークし、成績の上昇とともに、カットで粘る姿を目にすることは減っていった。

だが昨年6月、0-7の劣勢から大逆転勝ちした広島戦で、2点差の9回2死から延長戦に持ち込むきっかけをつくったのは、34歳となった中島の9球粘っての四球だった。あのとき、エスコンのスタンドは1つの四球で大きく沸いた。拍手を送るファンと同じ気持ちだった私は、若かりし頃の中島の言葉を思い出していた。「もちろん打撃技術は上げていきたいですけど、(粘ってやるという)気持ちはずっと持ち続けていたいですね」。178センチ、77キロの体で18年。プロ野球人生のフィナーレを迎える。【2008~17年日本ハム担当=本間翼】

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