
メジャーリーグサッカー(MLS)のLAギャラクシーで契約最終年を迎えているDF吉田麻也(38)が背水の覚悟を語った独占取材。担当したのはドジャース大谷翔平投手(32)の番記者だった。日本代表との別れに抱いた思いや、現役生活、引退後についての展望を聞く傍ら、世界で戦い続ける吉田を形づくった内面的な理由にも触れられた。MLBに主軸を置く記者から見たサッカーのトッププレーヤーの横顔を紹介する。(取材・構成=斎藤庸裕)
【取材後記】
コミュニケーションを取る度に、吉田麻也という人間の懐の深さを感じる。23年8月にギャラクシー入団が決まって以降、何度か取材する機会をもらった。ドジャース大谷翔平投手(32)を中心にMLB取材を続けている記者は、いわば“サッカー素人”。戦術や高度な技術の話は正直、理解が浅い。MLB取材のため、シーズンが重なるMLSの試合も、ほぼ行けない。それでも毎回、握手と笑顔で歓迎するように取材を受ける姿が印象的だった。
過去のキャリアをよく知る訳ではないが、吉田がなぜ、世界トップクラスの選手たちとの競争に勝ち、低迷していたギャラクシーを主将として全米チャンピオンに導けたのか。その理由が少し分かった。底なしの向上心と思考力。幼少期から鍛えられていた。
「7つ、6つ離れてる兄が2人いて、どうしてもフィジカルで勝てない。だから、体に頼ったプレーじゃなくて考えてプレーすることが、ちっちゃい時から身についてたと思います。試行錯誤する術を持っていた」
根底には成長へのあくなきチャレンジ精神がある。海外メディアとのインタビューでは流ちょうな英語でスラスラと回答。主将を務めた日本代表では、発信する言葉でもチームの士気を高めた。「ヨーロッパに行った時に、スピーチ力のすごい選手とか監督に出会って、自分がリーダーになるなら、こういうリーダーになりたいなと。いろんな選手とか監督のプレスカンファレンス(記者会見)を見ますよ」と明かし、中でも現バイエルン・ミュンヘン監督のヴァンサン・コンパニー氏に感銘を受けたという。
映像などで話し方を研究し、自らのスピーチに応用した。「声がまず通る。僕は声通らないんですよ。彼は声が低くて、ズーンって。そういう人のやつを見て、短く、端的にメッセージを伝える能力を学ぼうとはしてます」。サッカーのパフォーマンスに限らず、向上心に満ちた38歳。天井はまだ見ていない。強い目力から、そう感じた。【斎藤庸裕】
