
<オリックス0-8西武>◇9日◇ほっともっと神戸
レジェンドの地で心新たに-。西武の3連勝&貯金20復帰が固まりかけた7点リードの8回だった。この日昇格した蛭間拓哉外野手(25)が代打で登場し、初球を適時打にした。「やるべきことを冷静に」。打った後に情熱を表現した。
今季2度目の昇格だ。いずれも神戸で1軍に合流。「神戸に縁があるかもしれないっす」。もちろん、入団前から憧れてきた栗山巧外野手(43)が神戸出身だと知っている。
後悔がある。尊敬する大先輩が8月30日に引退試合を迎えた。蛭間は直前に2軍降格になった。「1軍のベンチで一緒にいたい気持ちがすごく強かったので、落ちる時にめちゃめちゃ悔しくて」。栗山が感極まったセレモニーでは、蛭間も。「いろいろ思い出してこみ上げてきました」。正確には「泣きました。めっちゃ泣きました」。
蛭間も知らない。ほっともっと神戸から徒歩8分、レジェンドの“原点”がある。「まだ明石海峡大橋ができる前やったですね。高速道路のトンネルを作ってたんです。このトンネル、本当に四国までつながるんかなーって。工事現場に入ってみたいなーとか。友達みんなでそんなこと、話してましたね」。栗山少年にとってまだ見ぬトンネルの先は、未来の象徴でもあった。誰よりも努力し、努力を続け、人々に心酔されるスターになった。
蛭間もトンネルが続いた。暗闇を抜けるには。「いろんな人に聞いて、自分のモチベーションを上げること」と話す。球団はスター候補として蛭間をドラフト1位で獲得した。「小学生で初めてプロ野球を見たのがライオンズで、その時に活躍していたのが栗山さん。僕もファンの方から愛されるような選手になれるように、まずは結果を出したいです」。獅子は時には谷底でもがきながら、新たな時代を作る。【金子真仁】
