
<阪神2-3DeNA>◇5日◇甲子園
石井大智の復帰にはジワリと来るものがある。一度、ゆっくり話したことがあるが真面目そのものの好青年。大ケガから戻ってきたのは素晴らしいし、ここからラストスパートの戦力になれば、言うことはない。
それでも強く思うのは「勝負は甘くない」ということだ。石井が走者を出しながらも無失点でこらえた8回の裏。もしも阪神が逆転していれば石井は勝利投手に。そうなれば言うことなしのストーリーだった。
だが、そこで中野拓夢から森下翔太、そして佐藤輝明をぴしゃり3人で抑えたのはDeNAの4番手・浜地真澄だった。言うまでもない元猛虎戦士。現役ドラフトでDeNAに移籍した浜地の意地も感じたのだ。
意地と書いたがDeNAの必死さもなかなかだ。3位に入り、クライマックスシリーズに進出する-という意志を感じる。もっともそれが強く出ていたのは守備だったかもしれない。
まず3回だ。元山飛優の左翼線の当たり。二塁打か…と思ったが度会隆輝が俊足を飛ばし、フェンスに到達する前に抑えるプレー。これで元山を一塁に止めたのである。
そして、その元山が絡んだ5回だ。1死二塁から近本光司の当たりは右中間への高い飛球。一瞬、捕球されそうに見えたこともあり、元山は三塁で止まった。走塁ミスと言えばそうかもしれない。だが「ほお」とと思ったのはDeNAの中堅・蝦名達夫だ。クッションボールをキャッチすると素早く送球。これが効いた面もあったと見る。
試合前からその気配は出ていた。試合前、DeNAは打撃練習を行う前にシートノックをしっかりと行っていたのである。元々、甲子園やマツダスタジアムではやるようだが、7月22日以来の甲子園で、それは念入りだった。その結果が1点差負け。これで阪神の1点差試合は21勝21敗のタイに戻った。
DeNAも必死-。そこについて指揮官・藤川球児に聞いてみた。「感じますね。どのチームもファンが応援してくれている限り、全力。タイガースも同じです」。そんな話だった。
これで甲子園でのDeNA戦は3勝4敗。京セラドーム大阪を含む主催試合すべてでも5勝5敗だ。今後のことは分からないが連覇を決め、ここでCSを戦うはずの阪神にとってなんとなくイヤな数字だ。甲子園でこのカードは残り3試合。まずは一つ勝ちたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)
