
<ヤクルト4-7阪神>◇3日◇神宮
神宮はホームランが出やすい球場で、ヤクルトは当然、本拠地での地の利を生かさなければならない。なのに、セ・リーグでのホームラン数はリーグ最下位、同被本塁打はリーグ最多。ホームランが出やすい神宮での地の利を発揮できず、相手を利している。
それはなぜか。先発増居のピッチングにその答えが出ている。主軸以外にはインコースを使うのに、佐藤などの主軸になると一転して使わなくなる。確かに今の佐藤の内角を攻めるのには勇気がいる。しかし、そこを恐れていては外角一辺倒になり、カウントを悪くして結局ゾーンに投げざるを得ず、そこを仕留められる悪循環だ。
空中戦では今の阪神相手には苦しい。ピッチングはストライク先行が鉄則で、そのためにはボールが遅い投手ほど、内角を攻めなければ。150キロ台後半の球威があれば、内角球を使った駆け引きより力勝負を選べるが、増居は違う。
先日、引退を表明した石川は決して速くないボールでも、どんどん内角を攻めていた。それがあれだけの選手寿命を支えたポイントだったと私は理解している。阪神の大竹もそうだ。遅いボールを速く見せるための、腹をくくった内角球というものを、増居もよく考えてほしい。
また、攻撃面でも3点を追う2回、無死二塁で増田は遊ゴロ。ここは進塁打で1死三塁にしておけば、前進守備を敷く可能性は低いのだから、内野ゴロで1点を返せる可能性があった。
春先は同じケースでタイムリーが出ていたが、今はそんな簡単に得点できない。だから、どうやって少ない安打で、あるいは相手のミスに乗じて1点をもぎとるのか。Aクラス入りへ、そこが問われている。失策もあり5回に2点を返し、7回にも得点した。空中戦で佐藤に2発を浴びはしたが、それでも追いつく可能性のある試合展開ではあった。
ベンチの打つ手がことごとくうまくはまっていたシーズン序盤から、事情は大きく後退している。その中でつなぐ攻撃で、小刻みに得点する戦い方をもっと追求してほしい。
今のヤクルトには持続的な地力がない。だから1点ずつを奪い、食い下がる姿勢が大切だ。狭い神宮でも1発攻勢は期待できない。阪神と同じ戦いはできない。ならば、1点ずつを返す野球を苦しいこの秋口にこそ、地道にトライしてほしい。(日刊スポーツ評論家)
