
日本相撲協会は9日、都内で臨時理事会を開き、弟子に暴力を振るった元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方(34)の処分を「委員待遇年寄」から「年寄」への2階級降格、3カ月の報酬10%減額と決めた。師匠は交代せずに継続。全45部屋で最多の力士32人、関取7人を擁する一大勢力は部屋閉鎖などの厳罰は回避した。不適切行為を行った前頭伯乃富士(22)は理事長による厳重注意を受け、当事者2人は騒動を謝罪した。
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暴力の加害者、被害者が並んで頭を下げた。伊勢ケ浜親方は黒いスーツで「責任ない行動によりご迷惑、ご心配をおかけして申し訳ございません。暴力は決して許されることではない」。伯乃富士とともに、都内の部屋で騒動を謝罪した。
2月21日の酒席で、伯乃富士の顔面を2発殴打した。知人女性の太ももを触るなど不適切行為を行った弟子を拳、平手で殴った。2日後にコンプライアンス委員会に自ら報告。事情聴取を受けて、3月の春場所は休場措置が取られていた。
協会は「親方が暴力を振るうことは絶対に許されない」と厳しく指摘。一方で常習性がなく、自ら申告したことを考慮し、処分は軽減された。広報部長の藤島親方(元大関武双山)は「妥当」との見解を示し「今日が1つの区切り。稽古は5月場所に向けてやっていく」と指導は継続すると説明した。部屋には24年の暴力事案により前宮城野部屋から転籍した力士も在籍。力士32人を擁する一大勢力から不安の声も聞かれたが、部屋閉鎖などは免れた。
角界の暴力事案は後を絶たない。かつては元横綱朝青龍、日馬富士らが引退。協会は講習会を開くなど再発防止に努め、18年には「暴力禁止規定」を制定し根絶を宣言。親方は現役力士より厳しい処分を下すなど基準を示したが、また暴力は起きた。今後は無期限で一門の監督下に置かれる。親方は「処分を真摯(しんし)に受け止め、信頼を取り戻せるように一生懸命頑張る」と誓った。5月の夏場所での復帰は未定。師匠として、正しい振る舞いが求められる。【飯岡大暉】
