
アジアの頂点を目指す戦いに向かうFC町田ゼルビアにあって、鹿児島・神村学園高卒のルーキーFW徳村楓大(ふうた、18)の存在は見逃せない。
明治安田J1百年構想リーグの前節・FC東京戦では負傷したFW相馬勇紀に代わって途中出場し、リーグ戦2試合目を記録した。チームの絶対エース相馬はドリブラーというプレースタイルも相まって、常に相手からの厳しいマークに遭う。負傷とも隣り合わせだ。そこで同じく突破力を武器とする徳村は、おのずとバックアッパーとしての価値が高まっている。
東西を勝ち抜いた8チームによるアジアチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)ファイナルズが16日(日本時間17日)から始まる。その渡航前の11日には、柏レイソルとのリーグ戦も控えている。
9日のトレーニング後、徳村が近況について語った。
「少しずつチャンスをいただいて出場できている中で、満足しないで常にチャンスを求めて日々のトレーニングをやってきましたし、その中でもらったチャンスは結果で返したいっていうのはあります。まだまだ自分の中では満足いってないですし、もっと突き詰めてやっていかないといけないなと思ってます」
3カ月前の1月11日、全国高校選手権で初優勝を遂げた。その後、町田に合流。2月17日のACLE1次リーグの成都蓉成(中国)戦でプロデビューを果たし、いきなりフル出場。チーム2点目もアシストした。百年構想リーグでも開幕戦からメンバー入りし、10試合中6試合にベンチメンバー。うち2試合に途中出場している。
プロとなり、すべてのプレーの基準が上がったと実感している。日本代表クラスの選手が複数そろい、その中で求められるものはルーキーも関係なし。同じ基準で競争し、メンバー入りを勝ち取るしかない。
「すごくいいキャリアを積んできた選手たちがチームにいる中で、そういう選手たちから見て学んだりアドバイスいただいたり、すごいいい刺激になっています」
自然と目指すところは高くなり、着実に成長のステップを踏んでいるようだ。
黒田剛監督も「この間(前節のFC東京戦)も試合に出たし、(運動の)量もあるし、キープ力もあるし、スピードもある。経験値が少しずつだから、あの選手層の中で(試合に)出て行くのは大変だと思う。でも、すごく順調にいろんなチャレンジをしていると思うので、今後ますますそういった場面(出場機会)が増えていくんじゃないかな」。アジア王者を虎視眈々(たんたん)と狙う上で、期待を込めてそう話した。
3カ月前の全国高校選手権に出場した選手で、Jリーグ入りは18人いる。既にプロデビューを果たした選手は徳村を含めて6人。うち4人が昨年度の夏冬2冠を達成した神村学園出身だ。ただJ1でデビューしているのは徳村ただ1人で、加えてアジア最高峰のACLEを戦う町田ということも踏まえれば、徳村の即戦力ぶりが浮き彫りになる。
J1で通用しているという手応えは持っている。その上で「当たり障りなくやるのではなく、チャンスをもらえたら全力でプレーしようと思っています。自分の特長を前面に出しながら、チームの勝利に貢献できるように頑張りたい」と口にした。
前線からの守備、そして武器とする縦へ仕掛けていくプレーは積極的に実践。高校年代ではその瞬発力が取り沙汰されたが、「周りのレベルに頑張ってついていこうとしたら、おのずとスピードは少しずつ上がってきていると思います」と進化は止まらない。
大きな可能性を秘めた沖縄出身の18歳。アジアの舞台でワンダーボーイ誕生となるのか、注目したい。【佐藤隆志】
