
日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は8日、都内のJFAハウスで今年2回目となるレフェリーブリーフィングを開催した。今年半期で開催中の百年構想リーグの前半戦からコンタクトプレーなどの場面がピックアップされ、佐藤隆治JFA審判マネジャーから解説や見解が述べられた。
その中の1つに、2月21日に行われた東地区第3節の東京ヴェルディ対FC町田ゼルビア戦(味スタ)があった。
前半7分に東京VのMF松橋優安が町田FW相馬勇紀から後方からスライディングタックルを受けた場面があった。松橋は足をねじるように両足で挟み込まれて倒れたが、そこでファウルの笛は吹かれなかった。負傷によって試合は止まり、そのまま退場。病院へ向かうことになった。
佐藤氏はこの場面はファウルで笛が吹かれるべきとし、「ケガしたかどうかが議論の理由ではなく、結果的に足を挟み込んでいったものがフェアチャレンジかと言うと、そうじゃない。選手の安全を考えてもきちんと吹くべき」と述べた。
その試合は2-2からのPK戦で決着したが、勝利した東京Vの城福浩監督は試合後の会見で、判定への不満を口にしていた。それだけに審判委員会の見解は注目されるものだった。
松橋の件に加え、後半35分にCKから失点した場面について言及した。得点した町田DF中山雄太がゴール前に走り込んでいく際、マークに付いたMF森田晃樹を引き倒していた。そのためビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が入った。ただ「ノーファウル」で得点は認められた。
これに対し、試合後の城福監督は「引っ張った当事者が点を取っているのに、それがノーファウルだというところは、ちょっと自分たちの認識と違うので、レフェリーと少し僕らが勉強しなきゃいけないのか、議論しないといけないのか分かりませんけど。僕はなかなかこういう会見で言わないんですけど、ちょっとこれは現場と審判が協力して日本サッカーを良くしていくってことでは、いいきっかけになる試合だったんじゃないかと思っています」と疑義を呈した。
この場面について、審判委員会の判断は判定通り。佐藤氏はきっぱり「現場の判定を支持します」と口にした。
理由は、中山が森田を引き倒す前に森田側からのホールディングがあった。それを外す上での交錯だったという認識。それに加え、CKからのボールに背を向け、中山と正対するように向き合って動きを抑えにいったことを踏まえた。
「(マークする選手も)ボールを見るのが大原則。ヨーロッパのレフェリーもCKの時に“まずボールを見なさい”と選手に指示します。端(はな)からボールを見ずに選手を抑え込むのはサッカーかと考えたら、そうじゃない」との見解を述べた。その上で、VAR映像の見せ方は大事になってくると強調した。
なお今季のリーグ戦の傾向として、ファウルが「肌感覚」で多くなっているという。さらにVARが映像を残した「レッドの可能性が高い」危険性の高いものは、昨年の12・8%から今年は19・8%まで増加していると公表した。
間に合わなくても足裏から飛び込むような球際でのプレーが増している中、佐藤氏は「相手競技者への安全や危険性に配慮する必要がある」と警鐘を鳴らしていた。【佐藤隆志】
