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日本高野連が設置した「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」がまとめた最終報告書を読み解く最終回は、7回制への懸念に対する議論と総括。
7回制に対する反対意見も多く寄せられていることに対し、導入による付随的効果や懸念を以下の通りにまとめている。
【1】競技レベル低下ならびに高校野球人気低下の懸念、他の階層への影響では「野球界全体を俯瞰(ふかん)してみた場合の波及効果という観点から9イニング制を堅持すべきであるとの意見が出された。また、7イニング制にすることによって、高校野球の技術レベル低下の恐れがあるとの意見があった」「7イニング制を採用した場合、競技レベルの低下と併せて高校野球人気の低下を懸念する声もあった」「教育活動の中で、部員ならびに高校野球関係者の健康をまもり、維持することが、教育の一環として取り組んでいる高校野球では優先されるべきだと考える」などが出て、定量的・客観的な評価が直ちにはできないため、本会議では事実として確定している要素をもとに議論することとした。
【2】国際化への対応では「トーナメント方式で行う高校野球と限られた短期間の日程でリーグ戦を行う国際大会を単純に比べて、国際大会=高校野球でも7イニング制採用というのは短絡的な発想にほかならない。我が国の事情を他国と同列に論じることは適当ではない」「各国の高校生年代での国内の状況を調べたところ、アメリカ、カナダ、コロンビア、キューバ、ドミニカ共和国、台湾、オーストラリアなどは7イニング制を採用している実態が報告されている」「成長期である高校生年代の野球は、世界では7イニング制が主流というのが現実である。そのうえで、U-18の国際大会が7イニング制を採用している事実を高校野球関係者は受け止め、採用を検討することは不合理ではない」といった意見が出た。
報告書では「7イニング制の採用は、日本高等学校野球連盟が現在、未来にわたり、取り組むべき課題を完全に解決する訳ではないが、課題解決ならびに改善を目指すうえで極めて有効であると本会議では結論づけた」とした上で、「速やかに全ての公式戦で7イニング制を採用すべきではあるが、現下の状況は加盟校や高校野球を支えるファンらのアンケート結果を見ると、その意図や有効性が十分に伝わっているとは言い難い」と現状を分析。
そして「現在加盟校で活動する部員達は、高校野球は9イニング制という前提で入学しており、部員達の心情を考慮すると、全ての公式戦での7イニング制の採用は移行期間を設ける必要があるとの声もあり、全ての公式戦での7イニング制採用は、現在の中学3年生が高校3年生となる2028年の第100回記念選抜高等学校野球大会ならびに各都道府県高等学校野球連盟の春季大会から採用することが望ましい」と提言し、「さらに2028年までに、加盟校や高校野球ファンに対して、7イニング制を採用する意図や有効性について説明を尽くし、広く周知することを求める」とした。
現状では7回制に関する導入は、正式に決まったわけではない。今後の議論で可否を話し合っていく中ではあるが、検討会議ではこうも付け加えている。「高校野球が直面する差し迫った課題の一つに、年々厳しさを増す全国高等学校野球選手権大会における熱中症対策があり、酷暑への対策は待ったなしの状況である。したがって、全国高等学校野球選手権大会においては、地方大会を含め可及的速やかに7イニング制の採用が望まれるとした。この検討結果について、理事会で早急に議論し、結論を出していただきたい」。
日本高野連では、今年4月以降に【1】さまざまな立場の8人程度が参加する意見交換会【2】少年野球からプロ野球関係者、指導者など各年代の関係者への説明会【3】各都道府県高野連への日本高野連からの説明会で周知を図る。
