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日本高野連が設置した「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」がまとめた最終報告書を読み解く第2回は、計10回の検討会議の議論の経過をたどる。
昨年1月10日に初回の検討会議が行われた。会議のメンバーには日本高野連の宝馨会長をはじめとした15人が名を連ね、7イニング制や7イニングに関する検討課題を議題とするところから始まった。2月には第79回国民スポーツ大会(滋賀県)での7イニング採用の意見でまとまり、その後の理事会で採用することが決まった。同6月の第5回では7イニング制に関して加盟校、調査会社のモニター、日本高野連のサイトによる3種類のアンケートについて審議し、実際に行われた。
興味深いことは、アンケート結果に違いがあることだ。
調査会社による登録モニター向けの調査では、7イニング制導入について賛成計35・9%、反対計25・0%と賛成が上回った。女性はどの年代も賛成派が多く、男性では10~30代の4割が賛成した。賛成理由では、「試合時間が短くなり、選手の熱中症予防の効果が見込めるから」が最も多かった。男性の40~60代は反対派が多く、高校野球に関心がある層、野球経験がある層は反対派の方がやや多かった。反対の理由で最も多かったのは「終盤の勝負の醍醐味(だいごみ)がなくなるから」だった。
加盟校を対象としたアンケートでは、賛成計20・8%にとどまり、反対計70・1%だった。部員数が増えるほど反対派が増加し、61~80人の学校では91・1%が反対とした。日本高野連のウェブサイトでも自由記述形式で行った意見集約では賛成が768人、反対が7923人、その他262人だった。
アンケートだけではなく関係者にリポートの提出を依頼し、【1】U18野球ワールドカップ視察【2】国民スポーツ大会出場校および運営関係者に協力してもらった。【1】では都道府県高等学校野球連盟理事長、専務理事のリポート(回答総数45)で以下の通りになった。
7イニング制に賛成(やむなしを含め)8(18%)
7イニング制に反対(早急な移行には反対含む)30(67%)
選手権大会(地方大会含む)に限り7イニングに賛成2(4%)
選手権大会(全国大会のみ)に限り7イニングに賛成3(6%)
判断がつかない2(4%)
主な意見には「前半で主導権を握った方が勝利する印象。戦略、戦術が大きく変化し、スケールが小さくなり、高校野球の魅力が減少する恐れがあるため反対」「7イニングを実際に見て物足りなさを感じたが、大きな違和感なく視察した。選手、審判員などの健康管理面から賛成」などがあった。
【2】のリポート結果は軟式・硬式各8校と大会運営を担った滋賀県高野連から集めた(回答数計16校)。
7イニング制に賛成・賛成とは言えないが必要を含む4(25%)
7イニング制に反対10(63%)
判断がつかない2(12%)
主な意見としては「7イニングを経験したが、やはり、野球は9イニングという考えが抜けない」「試合展開次第で自分達の都合で9イニングが良かったり、7イニングが良かったりする。社会の情勢が変化する中で高校野球を未来へつないでいくためには7イニング制に踏み切ることが必要なのかもしれない」などが出た。
滋賀県高野連からは「大会運営の負担は大いに軽減された。4試合日も9イニング制の3試合日相当の時間で実施できた。例えば、4試合日の第1試合の開始時間を1時間30分遅らせたが、ナイターになることはなかった。選手(特に投手)、役員、審判員の負担も、大いに軽減された。選手権(甲子園)大会は、試合期間、試合時間、試合数に制約があり、熱中症対策(審判員、観客含む)についても危機感を抱いており、7イニング制の有効性を強く感じる。都道府県高等学校野球連盟において柔軟に対応できる春季大会、選手権地方大会、秋季大会においては実施の意義は感じにくい」という意見が出た。【最終回に続く】
