
<We Love Baseball>
3月1日夕刻、宮崎空港はプロ野球にかかわる人々でごった返した。キャンプ&オープン戦を終え、1カ月ぶりに家路につく選手たち。搭乗までの時間を思い思いに過ごす。この季節の宮崎の風物詩だ。
自由時間は仲間との談笑かスマホをいじる選手が多い。西武の育成契約4年目、是沢涼輔捕手(25)は少し違う。空港2階売店の書籍コーナーに現れる。2年前、フェニックス・リーグ終了後もスーツ姿でいた。何を読んでいるのか-。「ニーチェです」と言い、そのまま購入していた。
今年もチーム関係者との食事後、1人で寄った。書棚を眺め「このオムライスに付加価値をつけてください」なる書籍を取った。続いて「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」も。ビジネス系の書棚から動かない。
「小学生の頃、ジャスコの公文に通って。公文が終わって母の買い物を待つ間、いつも書店でした」
最初は「小学生ながら賢ぶりたくて」と物語系を読み込んだが、是沢少年は「だいたい『人生頑張ろう』の教訓で終わる」と悟ってしまう。「それならば」と自己啓発やビジネス書にのめり込んでいった。
記者が保有する図鑑「アメリカ50州」も書棚にあった。是沢は「何州推しですか?」と記者に尋ね「ネブラスカ」と答えると、ネブラスカ州のページを熱心に読んだ。ありあまる知識欲、成長意欲。この日はオープン戦でフル出場後の書店締め。「支配下になるにはもっと頑張らないと」。厳しい争いの日々にだって、それぞれに“じぶん時間”は必要だ。【金子真仁】
