
広島のキャンプはブルペンに注目しようと決めていた。九里が抜けた先発は大瀬良、森下、床田に頼ってきた。3人にかかる負担は大きく、若手の台頭がチーム浮沈の鍵を握る。その1点に絞って見ていた。
2年目の岡本は111球と意欲的に投げていたが、気になるところがあった。最後、「ラスト」と言ってから、ピッチングが終わるまでに5球を投げた。納得がいかずやり直したわけだ。100球以上投げて、いい形で終わりたいのだろう。そこは十分にこだわっていい。
ただ、試合に当てはめた時、最後の1球は試合終盤になっているはずだ。走者がいるかもしれない。接戦かもしれない。その中で、その日を締めくくる1球に、やり直しは利かない。「もういっちょう」はない。納得いかないボールは、仕留められる可能性大。それも、4回もやり直しでは、まだ甘さを感じる。
いい投手は終盤に向かっても、ペースを崩さない。キレも制球もキープしつつ、絶対に失投はしないぞ、という安定感がある。床田は150球を投げ、最後の1球は鮮やかに1度で決めた。この違いから学ぶことだ。よりコースを攻め、妥協しない側面は保ちつつ、スタミナ切れによる失投は絶対にいけない。その意図をブルペンで貫き続けなければ。
そういう意味では受けていた坂倉は216球を狙いを持って捕球していた。捕手はブルペンで毎日200~300球は受けた方がいい。それを継続する中で、疲れた時の投手の変化量の違いや、真っすぐのキレのばらつきなど、細かいところに気づく。
努めて膝をつかないようにしていた。200球以上も受ければ、疲れから膝をつきたくなる。時折ついていたが、何とかつくまいとの意思は見えた。それが、100球超えてもしっかり受けることができる体のポジション探しにつながる。本人にとって楽な姿勢、ポジションを自分のものにすれば、結局はそれが自分を助けることになる。
最後に、下手投げ鈴木健に触れたい。投手陣に下手投げが加わると、かなり引き出しが増える。私はロッテ時代に渡辺俊を受けてきたので注目した。少し体の起き上がりが早く見えた。早いと体から腕が離れ、ボールが見やすくなる。もう少し粘って、下から下からを意識すれば、打者には見づらい軌道になると感じた。(日刊スポーツ評論家)
