
虎党には説明不要の阪神OB、レッドスターこと赤星憲広が今年もキャンプの臨時コーチに登場した。4年連続である。佐藤輝明、森下翔太ら主力や若手に走塁、盗塁など熱心な指導を行っていた。
“おまけ”もあった。森下に「中堅手の心得」を説いたのだ。これも言うまでもない、森下が来たるべき3月のWBCで中堅を守る可能性があるからだ。内容についてはいろいろあったようだがポイントは「センターは前後の動きが重要」という部分だったよう。森下も「そうですか」と熱心に聞いていた。
なにしろ「センター赤星」というのはハンパではない。9年間の現役生活の中で赤星は中堅以外の守備についたことがないのだ。9シーズンで通算1127試合に出場。そのうち1118試合(スタメン1083試合)で中堅を守り、他の8ポジションは経験がない。
「そこはこだわっていました。センターを守れなくなったら引退…ぐらいに思っていましたね」。現役を退いてしばらくした後、そんな話をしたことがある。
入団時、その赤星に憧れていたのが近本光司だ。こちらも現在は阪神不動のセンター。だが、ここで“問題”が出てくるかもしれない。もしもWBCでセンターを守る森下の様子が想像以上によければ「阪神でも…」となる可能性も否定できないということだ。
そこについて近本はどう思っているのか。キャンプ・インしてから少し雑談したときがあった。彼の答えはこういうものだ。「1年目かなあ。左翼も守っているし、センターでなければ…というこだわりはボクはないかもしれないですね。それに…」。
そう言って続けた話には少し驚いた。「レフト、うまいみたいなんですよ。壮さん(外野守備兼走塁コーチ・筒井壮)に『一番うまいかも』って言われたこともあるんですよ」。そうなのか。
「そうですね。言ったことありますよ。あまり具体的には言えないけど打球を捕る技術に優れているんです。甲子園なんて特に左翼は難しいですから」
思わぬところで初耳の話を続けて聞いた。もともと指揮官・藤川球児は守備位置に柔軟性を求めるタイプだ。それならば。今季「1番左翼・近本、3番中堅・森下」という布陣が敷かれる日が来るのかもしれない。そんなことも考えながらキャンプを見ている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

