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マケレレも来たパリSG会見、ハーバード大卒指導者が語った「幸せとはお金を持つことではない」


【写真】会見に出席した左からテクニカルダイレクターのキーロフ氏、平林孝昭代表、ルフラペデュエレン駐日大使、マケレレ氏、ヴァゼルアジア太平洋ディレクター

最近、マケレレ見たさにフランス大使館へ出向いた。

名門パリサンジェルマン(PSG)が1月29日、日本で新たに「PSGアカデミー・ジャパン」の設立を発表し、会見を開いた。そこにクラブOBのレジェンド、元フランス代表MFクロード・マケレレ氏がゲストとしてやってきた。

マケレレと言えば、ジネディーヌ・ジダンを輝かせた名ボランチ。小柄ながら牛若丸のように躍動し、攻守に渡ってチームの心臓となった。その往年のスター選手が華やかな会見の場に彩りをもたらしていた。

■国内5都市でスクール事業展開

会見の概要はこうだ。PSGアカデミー・ジャパンを設立し、スクール事業を日本で展開していく。4月から東京、埼玉、茨城、静岡でスタートし、9月には千葉にも開校。国内5都市の施設においてPSGの基準、方法論、教育理念に沿ったプログラムを提供。4歳から15歳までの男女最大1000人を受け入れるという。

ちなみにPSGは世界22カ国200個所にアカデミー展開し、スクール生は5万人以上だという。このグローバルネットワークで実践している公式メソッドでは、人間教育のプログラムにも力を入れている。マケレレ氏が自信満々に言う。

「元プロ選手として、若いアスリートにとって技術のスキルだけでなく、何より人間的な資質を育むことがいかに重要であるかを知っています。規律、献身、努力、そしてチームスピリットを身につけることは若者の成長には不可欠。そこに我々が提供するプログラムの真の価値がある」

■ピーター・キーロフ氏が指導責任

PSGは昨季の欧州チャンピオンズリーグで初優勝した。数多くのスター選手が在籍し、サッカークラブのイメージが強いが、サッカー以外にもハンドボール、柔道、eスポーツなどのマルチスポーツクラブであり、はたまたファッションやエンタメ事業も行う「ライフスタイルブランド」という位置付けのスポーツクラブだ。

そのPSGアカデミー・ジャパンで、指導プログラムの指導責任者となるテクニカル・ダイレクターに任命されたのが、ブルガリア出身のピーター・キローフ氏(60)だった。

経歴に目を通したところ「Harvard University-USA」とあった。

ハーバード大?

欧州サッカー連盟(UEFA)A級コーチライセンスを保持するという肩書以上に、その学歴に目がクギ付けとなった。

サッカーの現場に立つ人で「ハーバード大」というキャリアには出会ったことがなかった。世界の大学ランキングで常に上位に名前を連ねる名門中の名門だ。

なぜハーバード大? あまりに気になり、キーロフ氏に声をかけた。

■ブルガリア史上最年少26歳で監督

-あなたがどういうキャリアなのか教えてください

「4歳から地元のスラビア・ソフィアというクラブに入り、そのアカデミーで育ち、プロ選手になりました。ケガもあって若くして現役引退し、指導者になりました。26歳でスラビア・ソフィアで監督も務めました」

スラビア・ソフィアはブルガリアの首都ソフィアに1913年に創設された伝統あるクラブ。26歳にして1部クラブの監督就任は、いまだに破られていない同国史上最年少記録だという。

その監督業が終わった後、30歳になって米国へ渡った。そしてハーバード大の試験に合格し、費用免除のスカラーシップを受けて学んだという。

もともとブルガリア国立体育大でスポーツ科学を専攻し、同大学院ではスポーツマネジメントの修士課程を終了している頭脳明晰(めいせき)な人物。そういうキャリアも評価されてのものだという。

-ハーバードってどうやって入るのですか?

「いろんなテストがあるんですけど、その中にIQのテストがあったり、論文を書いたり、英語のテスト。後は大学や大学院で専攻したものは何か、それに基づいてどういうキャリアを築いたのかも条件だった。ハーバードの中にプロのサッカー監督がいなかったし、スポーツマネジメントの大学院も出ていることが評価されました。ちなみにIQテストは上位3%に入っていました」

■「ファイナンスは好きな分野」

-なぜハーバード大へ行こうと思ったのですか?

「あなたの交遊関係があなたの人格を作るということなので、ハーバード大にいっていろんな勉強をすることによって、そこの教授やクラスメートからいろんなことが学べます。サッカー以外のところで学びを付けたかったというのが、一番大きな理由でした。大学ではファイナンスを専攻しましたが、もともとファイナンスは好きな分野でした。そして何より世界一の大学に行きたかった」

-「ファイナンス」とは金融の勉強ですか?

「金融もそうですし、株式と不動産関係の勉強とか、いろんなものをひっくるめてファイナンスです」

-とても教育的な意味の強いサッカー指導者だと思いますが、それを持って何を子どもたちに伝えたいですか?

「心と体をとにかく健康に保ってもらいたい。サッカー選手というのは本当に一握りの人しかなれない。だからサッカー選手になれなくても、人間として社会の成功者になってもらいたい。成功者っていうのはお金を持つことではなくて、自分のやりたいことを見つけて、自分が本当に幸せだと思える職業について、そして世の中で活躍してもらいたいのです。そういう子どもたちを育てたい。日本にはすごくポテンシャルがあるので、私はすごく尊敬しています。子どもたちには誇りを持って、日本の将来のために、この国のために頑張ってもらいたい。それが私の夢です」

■「監督よりも教育者でありたい」

アメリカで過ごし、その後は日本などさまざまな国で選手や指導者の育成に尽力してきたのだという。ちなみに妻はアメリカで知り合った日本人。この場にも同行しており、おかげで話を深堀りすることができた。

その妻曰く「監督というよりは、教育者でありたいみたいです」。笑顔が絶えないオープンな人柄も含め、最高のメンターと言えそうだ。

「大好きな国、日本のために何かしたい。だとしたら、自分の知識を持って、サッカーを通じて子どもたちを育てたい。サッカー選手にならなくても、いろんな意味で日本を動かしていってくれるような子になってほしい。それが自分の一番の狙いです」

教養の深さに触れ、目から鱗(うろこ)が落ちるようだった。

当初の目当てだったマケレレのことは完全に忘れ、キーロフさんの話にうなずいていた。【佐藤隆志】

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