
“サッカーの神様”が鹿島アントラーズに降臨し、闘魂を注入した。横浜FC戦(8日、メルスタ)を控えた5日、OBでクラブアドバイザーのジーコ氏(72)が茨城・鹿嶋市内のクラブハウスで取材に応じ、リーグ制覇への心構えを明かした。残り3試合、伝統のジーコスピリットを胸に戦い抜き、9季ぶりの栄冠をつかみとる。
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常勝鹿島の礎を作ったジーコ氏が待望のタイトルへの覚悟を説いた。10月23日に来日すると、チームは直後に優勝争いのライバル京都戦で劇的な引き分け。サッカーの神様と呼ばれたレジェンドが植え付けた負けず嫌いの精神が乗り移ったかのように、試合終了間際に追いつき首位を死守した。「選手たちは最後まで勇敢に戦った」とたたえた。
残り3節で、2位柏とは勝ち点差1。3位京都、4位神戸とは5差で最重要局面を迎える。自分たちが勝ち続ければ相手の勝敗にかかわらず、9季ぶりのリーグ制覇が手に入る状況にある。「自分たち次第というのは他にない特権」とうなずき「この3試合は(優勝を)決定づける3試合だと自覚して臨まないといけない。後悔しないように、1つのエネルギーも残すことなく全て出し尽くす覚悟で試合に臨んでもらえたら」と助言した。
今季からチームを率いる鬼木監督とは、選手時代にともにプレーした間柄。川崎Fで4度のリーグ優勝を成し遂げた名将に全幅の信頼を置く。新指揮官のもと、首位を走るチームの成長にジーコ氏は「規律正しく、自分の力をみせつける場だと思ってグラウンドの中で、日々切磋琢磨(せっさたくま)して削りあってやっている」と目を細める。
待ちに待った歓喜へのカウントダウンが始まる。日本最多を更新する主要タイトル21冠目へ。「何か植え付けるよりは一緒に寄り添っていって、何かを植えるよりは、育ててきたものを収穫する。このまま続けて自信を持ってみんなで収穫できれば」と想像を膨らませた。【佐藤成】
◆優勝の行方 勝ち点67の首位鹿島は最短で30日の37節で9季ぶりの優勝が決まる可能性がある。8日の36節横浜FC戦、30日の37節東京V戦に連勝して勝ち点を73に伸ばし、同66の2位柏が36、37節の2試合で勝ち点3以下なら、勝ち点差は4以上となり、1試合を残して鹿島の優勝が確定する。また、鹿島は今後2試合で1勝でも挙げれば、2位以下の結果次第で30日に優勝が決まる。一方、2位柏も2連勝し、鹿島が2試合で勝ち点1以下なら30日に柏の逆転優勝となる。
