
カブス今永昇太投手(32)がFAになると4日、球団公式サイトが伝えた。米大リーグに移籍して2年目を終え、球団側は28年まで契約を3年延長する総額5775万ドル(約86億6000万円)のオプション(選択権)を拒否。今永側も単年1525万ドル(約22億9000万円)での契約延長オプションを拒否した。早くもMLB公式サイトが今オフFAの注目選手ランクで21位に入れるなど、先発左腕は争奪戦となりそうだ。
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【解説】今永の移籍先は、カブスがクオリファイングオファー(QO)を提示するかに左右される。提示されると、獲得球団はドラフトの上位指名権の譲渡が必要となる。たとえ投手陣が手薄でも、再建中の球団は獲得しにくくなる。カ軍にとって2202万5000ドル(約33億円)は安くはないが、2年間で24勝を挙げている投手にしては相場以下といえる。今季中盤以降の成績を一時的な不調とみるか、今後の立て直しが難しいとみるかで、評価は大きく変わる。
今オフのFA市場は、タッカー、シュワバー、ビシェット、ブレグマンら打者に比べて、投手は大物が少ない。今季8勝、防御率4・55のシースが1番人気で、5勝のキング(ともにパドレス)が次ぐというほど。左腕では2桁勝利のスアレス(フィリーズ)バルデス(アストロズ)には及ばないが、今永は次ぐ層と目される。前記2人が抜ける可能性があり、ダルビッシュまで来季不在のパ軍など、先発投手が手薄で、資金力豊富な球団なら獲得候補に挙げやすい。先の左腕2人が抜けた球団や、争奪戦に敗れた球団が方向転換する可能性もありそうだ。【MLB担当・斎藤直樹】
◆クオリファイングオファー(QO) FA選手がメジャーの上位125選手の平均年俸額で、今季所属した球団と1年契約する制度。12年から始まった。今オフは年俸2202万5000ドル(約33億円)。提示された選手がQOを拒否しても残留交渉はできる。FA移籍した場合、旧所属球団には補償として来年ドラフトの上位指名権が与えられる。逆に移籍先球団は上位指名権を失うが、両者は一致しない。ほとんどの選手がQOを拒否し、昨季まで144人中14人しか受諾していない。
