
ダルビッシュ、来季絶望-。パドレスは4日(日本時間5日)、ダルビッシュ有投手(39)が10月29日に右肘内側側副靱帯(じんたい)の修復手術を受け、無事に成功したと発表した。同時に屈筋腱(けん)の修復も行われた。回復までに12~15カ月を要するものとみられており、来季の26年はリハビリに専念。パ軍と28年まで契約が残っており、27年以降の復帰を目指すことになった。
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プロの野球選手としてだけでなく、1人の人間として、男として、父として、夫として、ダルビッシュは、手術に踏み切る決断を下したに違いない。現時点で、経過などの詳細は分からない。ただ、世界一を目指す選手として、やり残したことがあるというだけではなく、可能性がある限り、苦難に立ち向かう「生きざま」を貫くことに、これまでとは異なる価値観を感じたような気がしてならない。
メジャーでも、誰もが認めるスター選手となっても、ダルビッシュの謙虚さは変わっていない。むしろ、少しばかり「やんちゃ感」を漂わせていた20代前半をよそに、年輪を重ねるたびに、周囲への気遣い、感謝の思いをストレートに表現するようになった。日米両球界の発展を心から願い、自らの経験やノウハウを惜しむことなく、後輩達へ助言として伝えてきた。
ドジャース大谷が「二刀流」で球界を席巻する一方で、ダルビッシュは「僕は投げることしかできない」と、少し自虐的におどけるのが常だった。パ軍との契約は、42歳で迎える28年まで。レンジャーズ入りした際、担当スカウトだったプレラーGMとの固い結びつきが、今回の決断に裏にあったことも見逃せない。
ただ、ダルビッシュは、周囲には愚直と映っても、自らの意志に素直に生きてきた。たとえつらくとも、可能性がある限り、楽な道は選ばない。
「まだ、成長はできると思うので」。
優れた選手としてだけでなく、いい男として-。
再び、マウンドに立つ勇姿を待ち望む多くの声に、ダルビッシュが応えないはずはない。【MLB担当=四竈衛】
