
<全国高校サッカー京都府予選:京都橘1(7PK6)1京都共栄>◇3日◇準決勝
全国高校選手権の京都大会は3日に準決勝2試合が行われ、京都橘と東山が決勝進出を果たした。
京都共栄と対戦した京都連覇中の京都橘は、0-1の後半アディショナルタイム4分にセットプレーで攻め上がったGK平誠都(まこと、3年)が蹴り込んで追い付いた。劇的な展開でPK戦に持ち込むと、9人目までもつれた末に最後は平がセーブして7-6で勝利。3大会連続となる京都制覇まであと1勝とした。
この試合では来季のヴィッセル神戸加入が内定しているFW伊藤湊太(3年)が、久々の先発出場で存在感のあるプレーを披露した。
序盤は人数をかけて守る京都共栄を崩すことに苦戦したが、186センチの長身を生かして起点となり、巧みなワンタッチプレーでも周囲を生かすなど献身的な動き。良い形でラストパスを受けてフィニッシュに持ち込む場面は少なかったが、後半には自ら仕掛けてチャンスメークするなど違いも見せた。
後半28分までプレーした伊藤は「相手の守備が堅くて、自分で仕掛けることができなかったけど、持ち味を出そうとプレーできた」と振り返った。
7月26日に桐蔭学園(神奈川)と戦ったインターハイ1回戦以来、約4カ月ぶりの先発出場となった。グロインペイン症候群で離脱し、1日の準々決勝・洛東戦で20分間の時間限定で復帰。「今は痛みなく試合ができている。試合に出たくても出られない状態はもどかしかったけど、やっぱり出られるのは楽しい」と、高校サッカー最後の大舞台を目指す戦いへの合流を喜んだ。
米沢一成監督が「いろんなことが高いレベルでできる」と評する万能ストライカーは、前回の全国高校選手権開幕戦で一気に注目を集めた。帝京(東京)と戦って敗れはしたが、2年生FWはインパクトを残し、スカウト陣を引きつけた。高校選抜やU-18日本代表にも選出されて経験を積み、9月に神戸加入が決まった。練習参加時に「全員がめちゃめちゃうまいなと感じた」という伊藤は「高いレベルでやれる。日本代表でもプレーした選手がいっぱいいて、そこから良いものを吸収できると思った」と神戸でプロ選手として歩み出すことを決断。神戸は来季から始まるU-21リーグに参加するが「僕はそこを見ていなくて、J1の舞台で活躍することを見ている」と、実力者の中での争いに加わっていくつもりで、プロの舞台に挑む。
高校生としての公式戦は高校選手権とプリンスリーグと残り少なくなっているが、全国切符を手にしてその試合を増やし、そこで自身のプレーを見せることを目指す。「この選手権でいいプレーをして、ヴィッセルに内定している選手だということをしっかり証明したい」。戻ってきたエースがその力を存分に発揮し、チームを再び全国に導く。【永田淳】
