
ドジャースが、2年連続世界一に輝きました。今世紀に入ってメジャー初のワールドシリーズ2連覇を達成。大谷翔平投手も歴史に残る活躍を見せました。
ナ・リーグ優勝決定シリーズでMVPに輝きましたが、やはりワールドシリーズでの活躍は違います。1903年以来という長い歴史の中で数々の名勝負や名場面があり、世界一を決める頂上決戦での活躍こそが、最高のヒーローの証しだからです。
その最高の舞台で大谷が第1戦にいきなりホームラン。昨年は第2戦で二盗を試みて左肩亜脱臼した影響もあってか本塁打ゼロでしたが、彼自身2度目の大舞台で元祖二刀流ベーブ・ルースも投手時代になかった歴史的一打となりました。
さらに第3戦、延長18回の死闘で2本塁打2二塁打12塁打9出塁をマーク。これは1906年フランク・イスベル(ホワイトソックス)以来119年ぶりの1試合4長打でしたが、当時の大リーグは「飛ばないボール」の時代であり、イスベルの二塁打4本。大谷はホームラン2本を含む4長打だけに価値があります。
また、2011年の第3戦でアルバート・プホルス(カージナルス)が樹立した3本塁打、2安打の合計14塁打という記録には及びませんでしたが、伝説の本塁打王ルース、レジー・ジャクソン(ヤンキース)、プホルス、パブロ・サンドバル(ジャイアンツ)の4人しかいない「1試合3本塁打」に匹敵するぐらいの価値があります。
さらに特筆すべきは9打席全出塁をマーク。既に1試合7出塁の時点で新記録となりましたが、一気に9度まで記録を更新。ワールドシリーズはもとより、公式戦でも1試合9出塁は過去3人しかなく、いずれも第2次世界大戦前だったことを思うと、不滅の大記録になりそうです。
そのうち5打席目以降は4敬遠1四球でした。中でも、9回の第5打席と延長11回の第6打席は無走者ながらの敬遠四球で、1955年に敬遠が公式記録となって以来、初めて1試合に複数回を記録。あの敬遠四球で有名なバリー・ボンズ(ジャイアンツ)も成し遂げていません。
ちなみに、リーグ優勝決定シリーズ第4戦から4試合で6本塁打をマーク。これはポストシーズンで前述のジャクソンに次ぐ史上2人目の記録となります。1977年の最終第6戦で3本塁打を放ち、「ミスター・オクトーバー」と呼ばれた伝説の強打者ジャクソンに並び称されるとはすごいです。
第4戦では元祖二刀流ルース以来、107年ぶりとなる初先発登板。前夜延長18回の死闘を繰り広げたにも関わらず、7回途中まで投げ4失点。残念ながら勝利投手にはなれませんでしたが、主砲ウラジーミル・ゲレロから初回3球三振を奪うなど、快投を見せました。
最後には最高の舞台が待っていました。何と世界一を決める「第7戦」に投打二刀流で先発登板。中3日で3回途中3失点の降板となりましたが、先発登板試合で2安打を放ち、これまた新たな歴史をつくりました。
ワールドシリーズ3勝と大車輪の活躍でMVPに輝いたエース山本由伸投手、さらには新人佐々木朗希投手のクローザーとしての働きもあり、1890年創設の球団史上初となる2年連続世界一を達成。メジャー8年目で、悲願の投打二刀流で世界一に輝きました。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)
