
<DeNA1-2阪神>◇27日◇横浜
待望の「1」がハマスタのスコアボードにまぶしくともった。猛虎の先輩たちが早川の初勝利を強力援護。阪神大山悠輔内野手(30)が先発ルーキー早川の背中を押した。
「早川が頑張っているので何とか先制点を取りたかった。早川に限らず毎試合、そう思ってやっています。なかなかうまくいかないこともありますけど、投手に助けられてる部分もありますし、助け合いをチームとしてやっていると思うので、そういう意味でも今日勝ててよかったです」
オッズがあればその差は歴然だっただろう。阪神才木と並ぶリーグトップタイ12勝の東に、プロ初先発の早川が挑む構図。だが、右腕は序盤3回までノーヒットと力投した。打線の奮起が待たれる展開で5番が応えた。
0-0の4回だ。先頭の森下が中前打で出塁。1死一塁から大山が今季初対戦の東のカットボールを強振。打球は左中間を勢いよく抜けていった。森下が一塁から激走し、間一髪のホームイン。クロスプレーの間に進んだ三塁で、大山は穏やかな笑みを浮かべた。その向こうで、早川は頼もしい先輩の姿を見つめていた。
大山は前日、9回に劇的な逆転8号2ランを放っていた。阪神森下の16度、佐藤輝の15度に次ぐリーグ3位の2試合連続13度目のV打点。ラストスパートに入り、また調子を上げている。この日は初めて打席に立った早川に自身のバットを貸していた。虎のアニキは「初勝利で、めでたいですし、チームとしてもよかったです」と祝福した。
6番熊谷敬宥内野手(29)も連続タイムリーを中前に運び、大きな2点目を加えた。「大山さんに先制してもらった後だったので気楽に打席に入れました」。遊撃守備では2回に弾丸ライナーをジャンプ一番好捕。球場の空気も変わる超美技だった。「まずはしっかり守ってあげようと考えていた。早川がテンポよく投げてくれたので守りやすかった。早川のおかげです」。先輩らしくルーキーの手柄を強調してみせた。
援護は2点だけになったが、難攻不落の東から奪ったこの2点で勝った。早川を見殺しにするわけにいかない。そんな打線の意地だった。【柏原誠】