
<巨人4-3DeNA>◇3日◇東京ドーム
「運だと思います」。間髪入れずに、巨人若林楽人外野手(27)は答えた。お立ち台の夏休み企画。子どもインタビュアーが聞いた。「どうやったらプロ野球選手になれますか」。連敗を3で止めるサヨナラ打を放ったばかりのヒーローは、運を拾う意味で「ゴミを拾うとか」と続けた。
試合前の練習、右翼の人工芝のゴミを拾っていた。「中学の指導者の方に言われて」。球場内外を問わず、日常に染み込んだ「当たり前」は、今日も今日とて。「ちょっと質問(の答え)にあってたかな…」と気配りしながら、実際にプロになれた今がある。
1点リードの9回表。守護神マルティネスを何番打者と代えるか。阿部監督が「ちょっと悩んで。(二岡)ヘッドが9番にと。野球って不思議だな」と思い返す場面。守護神が同点弾を浴びたその裏、2死二塁で9番の代打が若林だった。
DeNA伊勢の直球を振り抜き、前進守備の中堅を越えた。「嫌な流れで試合を決められた。興奮しました」。巡ってきた運を結果に結び付けるのも実力。6月に左大腿(だいたい)二頭筋筋損傷で戦列を離れ、2軍で「いろんな引き出しを持つことを大事に」と、仲間に質問を重ねた。先月29日から1軍合流し、出場3試合目。チームに勝ち運も授けた。【阿部健吾】