
<ヤクルト1-5阪神>◇2日◇神宮
虎の神宮花火大会や! 首位を独走する阪神が自力で優勝マジックを36から35に減らした。恐怖の6番小幡竜平内野手(24)が今季2度目の1試合2本塁打で打線をけん引。猛虎打線が22年5月18日以来、3年ぶりとなる1試合4本塁打で快勝した。巨人を抜いて2位に浮上したDeNAとは今季最大12・5ゲーム差。真夏のカウントダウンがさらに加速する。
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小幡が1発目の花火を打ち上げた。2回1死走者なしから、外角やや高めの147キロ直球を捉えた。打球はバックスクリーンすぐ横の左翼スタンドにズドン。「いいスイングが出来たので外野は越えるかなと思いましたが、フェンスオーバーは風の力です」。そう言って謙遜したが、今季4号の先制ソロがチームを乗せた。
4回も直球撃ちだった。今度も1死からほとんど同じ場所に放り込んだ。「今日は特に左中間方向だと。そっちの方向だと。自分的にも良かった」と狙い通り。7月21日の巨人戦(東京ドーム)以来となる今季2度目の2打席連発。チームは22年5月18日のヤクルト戦以来、3年ぶりの1試合4本塁打だ。この日の4発でチームはセ・リーグ最多の60本塁打に乗せた。
6年目の昨季まで通算458打席で2本塁打。長打のイメージは強くないが、実は高校時代、打撃練習では誰よりもボールを遠くに飛ばしていた。甲子園は春夏合わせて10度出場の延岡学園(宮崎)出身。強豪校で自分より体格のいい選手もいたが、負けなかった。
小幡が18年春に甲子園出場した際の監督である三浦正行氏(73=元大洋)は「もったいない」と就任当時に2番から4番に打順を変更。NPBでプレーしていた恩師が認めるほどの飛距離だった。やみくもに強振はしない。「捉える」ことを意識して練習。自分の打撃をして飛ばしていた。
この日も直球をしっかり捉え中堅方向へ柵越え。7月20日巨人戦からの出場8戦5発に「球場と風です」とどこまでも謙虚だが、神宮の中堅フェンスまでの距離は甲子園以上。持ち前の「飛ばす能力」を生かした。
守備でも光った。2回無死二塁からは二遊間へのゴロを捕球してすぐに回転して三塁に送球。二塁走者のオスナをアウトにした。「ピッチャーが打ち取った打球をしっかりアウトにするということを心がけている。継続できるように頑張ります」と攻守でもり立てた。
チームは8月16日に開催の本家「神宮外苑花火大会」の2週間前に4発のアーチで2連勝。2位とのゲーム差を今季最大の12・5に広げ、貯金も最多23となった。試合を振り返った藤川監督は「ホームランも多く出て感じよくいきながら」とニンマリ。優勝マジックは1つ減って35。猛虎の勢いが止まらない。【塚本光】