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高校野球の東東京大会の2回戦の日体大荏原-立正大立正が、11日に江戸川区球場で行われ、5-1で日体大荏原が勝利した。巨人でコーチを務める内海哲也1軍投手コーチ(43)の長男の瑛太投手(3年)は、立正大立正の背番号「19」でベンチ入り。控え投手で登板機会はなく、チームも敗れたが、ベンチ周辺を動き回りながら、仲間をサポートし、ベンチで大声を張り上げる姿は偉大な父と重なった。
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1回、2点を先制され、ベンチに戻る仲間を内海は先頭で迎え入れ、タッチを繰り返しながら鼓舞した。守備中はアウトを取る度にグラウンドに向かって、大声を張り上げ、アウトカウントを指で示し、攻撃中は仲間が安打や出塁すれば拍手や声でたたえ、チームの雰囲気を盛り上げた。
周囲に目を光らせながら、イニング間は捕手の防具付けをサポート。打者が出塁した時には、打撃用の防具を受け取りに一塁へと走った。チームは2回に1点を返したが、3回以降は打線が沈黙。内海の願いは届かず、立正大立正は1-5で敗れた。
尊敬する父も、チームを献身的に支える象徴のような選手だった。降板した後はベンチの最前列で声を張り上げ、チームメートを鼓舞。新加入の選手やルーキーには、グラウンド外で歓迎会などを開き、なじめるような雰囲気を率先して、作り上げた。
父は敗戦の瞬間、江戸川区球場から遠く離れた横浜スタジアムでDeNA戦に向けた準備を進めているところだった。試合後、妻聡子さんから聞いた言葉に胸をジーンとさせた。
「チームメートのお父さんから、(瑛太が)雰囲気作りをしてくれたと。いろんな方からベンチワークで褒めてもらえることがあったみたいで、試合に負けたのは本当に残念でしたけど、父親としてはそういう姿勢がうれしかった」
小学3年から野球を始め、巨人のエースだった父の背中を追いかけた。高校3年間で公式戦での登板はなかったが、チームプレーや仲間を思いやる気持ちをグラウンドで示した。「よく頑張ったと思いますよ」。父は優しい笑顔で話した。【久保賢吾】