
<中日-巨人>◇30日◇バンテリンドーム
巨人戸郷翔征投手(25)が口を一文字に結び、にこやかな顔でうなずいた。5回2死で迎えた中日岡林との対決。11球の勝負だった。最後は149キロの真っすぐをど真ん中に投げ込んで左飛に押し切った。6回まで並べた「0」。37日ぶりの先発で気力十分にマウンドに君臨した。
初回から直球にバットを当てられ、変化球を軸にした。ただ、杉内投手チーフコーチが「変化球がゾーンに乗っていないように見える」とボール球が増えた。1、2回とランナーを三塁に背負う苦しい展開。切り抜けると、徐々に変化球も決まりだした。直球も走り、表情にも生気がみなぎっていくように見えた。
「(昇格は)2回目なので、緊張とかは全くない。切り替えてやってやるって気持ちが強い」。試合前に語っていた。プロ7年目で2度のファーム再調整は初めてだった。2年連続の開幕投手も、4月11日広島戦で4回途中10失点など、不振による2軍降格。5月に1軍復帰して2勝したが、防御率5・24と低調で、6月22日西武戦後に再び2軍行きとなっていた。
1カ月をかけて、桑田2軍監督らと改善に取り組んだ。「1回目落ちた時は『早く上がらないといけない』といろんな人の意見も無視ではないですけど、飛び越えてやってきた。今回、本当にじっくりいろんな人から吸収できて」。開きの速さなどの微修正で、復活を期してきた。
6回も無失点に抑え、降板した。ここまで11試合に先発して2勝6敗。「やるしかないので、立場的に。1番はチームの勝利を」。戸郷の意地をかけた後半戦が始まった。【阿部健吾】