
<中日-巨人>◇30日◇バンテリンドーム
エースは懐かしそうに回想した。「早いですね。動きだしが早くて、川は冷たいときから入ってますし。朝6時くらいに起きて、川に行くこともありましたしね」。
少年時代、宮崎県都城市で過ごした夏休みは、ただただ大自然を満喫した。「セミは採りに行かなかったですね。クワガタはありましたけど。クワガタは夕方ですね。朝は川ですね。楽しかった。今戻りたいですね」と“あの頃”を懐かしんだ。
巨人戸郷翔征投手(25)は今季、2年連続の開幕投手を担った。22年から3年連続で12勝をマークし、チームのエースに上り詰めた。だが、今季はここまでわずか2勝にとどまる。2軍再調整を経て1軍に復帰した5月25日ヤクルト戦でようやく今季初勝利を挙げた。6月22日西武戦後に再び2軍再調整を通達され、約1カ月間を若手に入り交じってファームで過ごした。
午前中から練習が中心だった2軍生活に「慣れないですね。7年ぐらいナイター生活なので。デーゲームが苦手だったんで、逆にいい練習になったというか…」。生活リズムは早朝から無邪気に冷たい川に飛び込んだ“あの頃”と同じだった。
プライドと責任感が交錯した。重たいものを背負いマウンドに立つ使命にも苦しんだ。「1回目に(2軍に)落ちた時は早く上がらないといけない、早く試合出て上がろうっていって、いろんな人の意見も無視ではないですけど、飛び越えてやってきた。でも、今回は本当にじっくりいろんなことを、いろんな人から吸収できて、気持ち的にはまた『どうしよう、どうしよう』という感じは全くない」とようやく視線が前に向いてきた。
ここまで11試合に先発して2勝6敗。投球回もわずか55イニング。残り試合を考えれば、戸郷の登板機会は10試合程度となる。「2桁勝ってもね、僕らは良しとされない立場なので。それが、僕らとしては、いいこともあれば、苦しいところでもありますし、だからこそでも目先の1勝というのは気にしてない目先の1勝というのは気にしてないですし、試合をしっかり作って勝てれば一番だなと思います」と言った。
前夜は先発の西舘が2被弾で6失点を食らった。借金1で迎える、中日3連戦の第2戦。エース戸郷が先発マウンドに返り咲く。【為田聡史】