
神戸の30周年を記念した世界最高峰クラブとのチャリティーマッチ開催が思わぬ形で大混乱に陥ったが、神戸のスピーディーな交渉で急転開催にこぎつけることが濃厚になった。
神戸は27日にスペインの名門バルセロナと親善試合(ノエスタ)を行う予定だったが、23日(日本時間24日)にバルセロナが「プロモーターによる重大な契約違反により、今週日曜日に日本で開催予定だった試合への参加を中止せざるを得なくなった」と声明を発表。来日を取りやめるとした。スペイン紙アスによると、受け取るはずだった約1500万ユーロ(約25億5000万円)の一部しか期日までに入金がなかったという。
今回のアジアツアーで公式プロモーターを務める韓国D-Drive社も声明を出した。「本日、試合の代金全額を受け取る予定だったが、最終的に資金は届かなかった。ヤスダグループは無効または偽造された書類を繰り返し提出し、すでに韓国に送金されたと虚偽の主張をして私たちを欺いた」とし、日本の試合で神戸とともに主管となっているヤスダグループが契約違反を犯したと主張した。
降って湧いたこの騒動に、神戸は振り回された。早朝にクラブの社員がこの事態を把握し、三木谷会長が知ったのもこの日の午前5時ごろだったという急転ぶり。開催が不安視される中で、吉田監督は「クラブからは(試合を)やるつもりで、と説明を受けたので、その準備をしていく」と予定通りのメニューを選手に課した。
急なトラブル対応を強いられた千布社長は、電話が鳴りやまない神戸市内の事務所で終日対応。会議室に入って試合開催の可能性を探り、二転三転しながらも開催の道筋を見いだした。クラブは午後8時31分に公式X(旧ツイッター)で「現時点におきまして、確定的な情報をお伝えできる状況にはございません」と発表したが、最終的には楽天グループが不足分を支払うことで決着する見込み。多くの人が楽しみにする神戸の街でのビッグマッチ開催を取り戻せることになりそうだ。【永田淳】
○…バルセロナの声明発表前の23日夜には、26日に予定されていた公開練習の取材案内が送られるなど、日本側の受け入れ体制が順調に整えられていた中での中止危機。既に国内外から神戸入りしているファンもおり、今後の決定が待たれる。韓国での31日FCソウル戦、8月4日大邱FC戦についてはD-Drive社が「関連費用をすべて負担している」とし、予定通りの実施を見込んでいる。