
<高校野球大阪大会:大阪桐蔭1-0大阪偕星学園>◇24日◇準々決勝◇くら寿司スタジアム堺
大阪桐蔭・森陽樹投手(3年)が“おっとり”封印の気迫あふれる完封で薄氷勝利に導いた。最速153キロ右腕はNPB9球団のスカウトが見守る中、9回を12奪三振3安打で無失点。0-0からの9回裏サヨナラ勝利を呼び込んだ。「負けたら終わりなので。自分が粘って攻撃に流れをつけられてよかった」。中野大虎投手(3年)とダブルエースを任される右腕は試合後、表情いっぱいに充実感を漂わせた。
4回表。先頭から左前打、中前打を浴び、無死一、二塁のピンチを招いた。ここで気合を入れ直し、スライダーで3者連続三振。スタンドは大歓声だ。「これまでピンチは直球で押し切ることが多く、ピンチの場面での粘り強さが課題だった」。攻めの変化球で成長の跡を見せた。「先頭打者を100%取ることをもっとやっていきたい」と反省しつつも「日頃からピンチを想定して練習してきた成果が出た」とうなずいた。
西谷浩一監督(55)も「今日は1球目から非常に攻めた投球をしていたので頼もしく見ていた」と納得顔。森と中野のダブルエースについては「2人とも性格が違って、森は控えめ。お互い持っていないものがある」と表現した。高いキャプテンシーで知られる中野とは対照的に、宮崎県で南国の太陽光を浴びて育った森は穏やかでおっとり。そんな右腕も最後の夏にかける思いは人一倍強い。
この日は最速147キロを計測する熱投で、9回裏のサヨナラスクイズ勝利をお膳立て。26日の準決勝は長年のライバル、履正社と相まみえる。甲子園まで残り2勝。「自分たちがやってきたことを最後、出すだけ。いい形に結びつけたい」。森は力強く必勝を誓った。【大西真生】