
<高校野球大阪大会:千里青雲3-2今宮工科>◇21日◇4回戦◇豊中ローズ球場
激戦区・大阪に新たな公立の星が誕生した。千里青雲の右腕、一針崇人(いちはり・しゅうと)投手(2年)だ。
同点に追いついた直後の4回から登板。横と縦2種類のスライダーとツーシームを軸に9つの三振を奪い、8回1失点の好投。延長タイブレークの11回裏、自身のバットで試合を決めた。
この夏が公式戦デビューとなった一針だが、ここまでの3試合で25回を投げ、1失点29奪三振と目覚ましい活躍を続けている。覚醒へのカギは、かつて指導していた大塚(大阪)で楽天村林らを育てた室谷明夫監督(42)のアドバイスだった。
「投球動作の中で左足の股関節が流れ、腕は縦振りなのに下半身はサイドスロー投手のような不自然さがあった」。それからマウンドにバケツを置いて股関節の動きを矯正。その結果、二段モーションを可能にする下半身の強さを手に入れ、制球力の改善に成功した。さらに指揮官は「普段は静かだが、自信が付いてきたのか今日は気持ちを前面に出していた」と、精神面の成長ぶりにも目を細めた。
快投でチームを初の夏16強へ導いた一針は「先輩たちを目標である学校初の8強に連れていきたい」と、次戦に向けて闘志を燃やす。戦いの中で成長を続ける今夏のニューヒーローが、「針の穴に糸を通す」ピッチングで千里青雲に新たな歴史を刻む。【一 樹】
◆一針崇人(いちはり・しゅうと) 2008年(平20)6月6日生まれ。大阪府豊中市出身。5歳から千里南丘少年野球部で内野手として野球を始め、豊中九中では千里山ボーイズと学校の準硬式野球部でプレーした。球種はストレート、ツーシーム、スライダー、カーブ、縦スライダー、チェンジアップ。178センチ、66キロ。右投げ右打ち。