
夏休み到来、3連休となった7月19~21日の明治安田J1は大いに盛り上がった。好カードめじろ押しで、10試合中4会場で観衆3万人超を記録している。
・東京対浦和(19日、味スタ)3万5687人
・鹿島対柏(20日、メルスタ)3万3400人
・横浜対名古屋(20日、日産ス)3万2113人
・G大阪対川崎F(20日、パナスタ)3万1898人
中でも今後の優勝争いを占う「大一番」と目された鹿島対柏は前売りが完売していた。さらに収容定員から1万8012人ながら清水対横浜FC(20日、アイスタ)も完売しており、当日券は販売されなかった。
「サポーターの声援が後押ししてくれた」。判で押したように語る各監督たちの言葉は本音だろう。3万人を超えた4試合はどれもホームチームが勝利している。1点差の接戦が多いのも、サポーターの力の表れ。初めてJ1を見た新規観戦者にとっても、十分に魅力が伝わるものだった。
6月25日にメディア向けに実施されたJリーグのマーケティング領域の2025年上半期振り返り(J1は21節、J2は20節、J3は17節まで実施=全1140試合中578試合終了)では、Jクラブ全体の総入場者数成長率が過去最高を記録した24度を上回り、前年比109%となったことが報告された。
J1は1試合平均2万299人(208試合)を記録し、24年の同時期の1万9497人(210試合)を104%上回っている。会場の収容率も前年の57・58%から60・89%に上昇。なおサポーター同士のトラブルを避けるため緩衝地帯を設けているため、本来の収容人員から割り引いてチケットは販売されている。
Jリーグは今季「toCマーケティング」に力を入れている。「toC」とは「Customer(一般消費者)」に向けた販促活動のこと。不特定多数に情報を届けるべくマスマーケティングを実施し、従来のメディアに加えSNSを活用したさまざまな施策を展している。
集客好調の要因は2つ。
(1)メディア露出・試合中継の増加
テレビの在京キー局での露出量は前年比150%、地上波ローカル中継数が24年の1・5倍に増加しており、1~5月のJリーグ関連のX(旧ツイッター)投稿数も累計で780万6449件を記録し、前年比122%となっている。
(2)集客注力試合による底上げ
Jリーグは今季の取り組みとして、クラブが集客最大化を目的に行う「集客注力試合」への支援を開始。試合に絡めたイベントなど大規模な施策に挑戦しやすくするために助成金(※金額は非公表)を設立。これを活用する形で対象試合では通常の2~3倍の集客につながっており、新規ファンの獲得に成功している。
併せて試合会場での物販販売にも力を入れており、人気キャラクターとのコラボ商品の拡大や、機会損失の最大要因となる入店待機の改善、キャッシュレス対応などマーケティング分野での視点は尽きない。
安心・安全で家族が楽しめるJリーグの魅力は着実に浸透している。そんなことを実感する夏となっている。【佐藤隆志】